戦術見直しのため攻撃一時中止 攻勢に必要な空軍力の欠如など戦力不足 ウクライナのNATO早期加盟も実現ならず
ウクライナの2週間にわたる反転攻勢が減速に入る様相だ。
米国の戦争研究所(ISW)は19日、ウクライナ軍が今後の作戦のための戦術を見直すため、反転攻勢を一時中断する可能性もあると、戦況報告書で明らかにした。
同研究所は「ウクライナはまだ反転攻勢作戦に可用戦力の大きな部分を投入しておらず、主要活動を開始していない」とし、「作戦の中断は主要攻撃遂行の一般的な様相であり、この中断がウクライナ反転攻勢の終了を意味するわけではない」という見解を示した。
米国のウォールストリート・ジャーナル紙も同日「ウクライナ指揮官が攻撃探索で困難に直面したことを受け、戦術を見直すため、ここ数日間多くの地域で進攻を止めた」と報じた。
同紙は、ウクライナが現代戦の攻勢に必須的な優勢な空軍力の支援がないうえ、ロシアの地雷などで防衛線を突破できずにいると指摘した。
「ウクライナが直面した初期の難関は、攻勢が長期化、極度の消耗戦になるというシグナル」だとしたうえで、「疲労や士気などにおけるウクライナ軍の優位も、物理的防衛線や空軍力、電子戦装備などでロシアの持つ強みで相殺される。地雷は特にロシアにとって効率的だ」という西側軍高官の話を伝えた。
周期的に戦況情報をソーシャルメディアに掲載する英国防省も同日、ウクライナの反撃後、双方とも多くの人命被害が発生したと分析した。
英国国防省はウクライナ軍がザポリージャ、バフムトなどで攻勢を展開し「少し進攻」したが、ロシア軍も南部で「相対的に効果的な防御作戦」を遂行していると評価した。
これに先立ち、エストニア軍情報センターのマルゴ・グロスベルグ大佐は16日、ブリーフィングで「我々は今後7日間攻勢を見られないだろう」と語った
エストニアメディア「ERR」によると、グロスベルグ大佐はウクライナの作戦中断は「ロシア防衛線における脆弱地点の把握が来週まで続くため」とし、「古典的な攻勢作戦遂行と関連し、攻撃する側に兵力と武器において3対1の優位が必要だという教理があるが、残念ながらウクライナは現在そのような状況にない」と指摘した。
また「戦力は1対1であり、このような理由で不要なリスクを冒さないため、ウクライナはより組織的かつ慎重に、作戦にアプローチしている」と語った。そして、これまでの作戦の結果、西側が支援した兵器の10%を失ったとし、今後の作戦過程でさらに多く失うだろうと指摘した。
ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は20日、テレグラムに「現在進めている作戦にはいくつかの目標があるが、軍はこのような課題を遂行しており、最大の攻撃はまだ行っていない」と主張した。
しかし、「敵は簡単には自分たちの位置を諦めないだろうし、我々は厳しい戦闘に備えなければならない」と作戦の難しさを認めた。マリャル次官は前日の19日にはウクライナが今月初めに始めた反撃作戦を通じて南部ザポリージャ州中部のペティハッキ村を奪還するなど、この2週間で113平方キロメートルに達する占領地を取り戻したと明らかにした。
今後の戦況を分ける最大の要因は消耗戦に耐える資源であり、ウクライナにとっては西側の支援が死活問題だ。
北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は19日、ドイツのベルリンで開かれたある会議で、「ドイツだけでなくNATO全域の多くの国で兵器と弾薬在庫が底をつき、再び補充しなければならない」と懸念を示した。
一方、ストルテンベルグ事務総長は19日、ドイツのオラフ・ショルツ首相と会談した後、来月リトアニアのビルニュスで開かれる「NATO首脳会議および同会議の準備で我々は(ウクライナに対する)公式招請について論議していない」とし、「我々が議論するのはいかにウクライナをNATOに近づけようとするのかだ」と述べた。
これに先立ち、ストルテンベルグ事務総長はウクライナをNATOに公式手続きを踏まず加盟させることを提案したが、ジョー・バイデン米大統領が反対した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff71be87cbbfb3fc70d886094c841bbc8cf0d00c