元彼に言われた「汚い」のひと言 性感染症になった私が伝えたいこと

 性感染症になったと元彼に告げた。うつしてしまったかもしれない。ざんげの気持ちだった。「汚い」――。返ってきた言葉に驚いた。「私は何のために言ったのだろう」。後悔だけが残った。

 都内の大学病院で看護師をしていた藤沢美香さん(32)はコロナ禍の2020年4月、自宅と職場を往復する毎日を送っていた。部屋の電球が切れても買いに行かず、食料は配送サービスを使った。とにかく、人と会わないようにしていた。

 ある朝、排尿の際に陰部が痛んだ。確認すると、できものがあった。「陰部にもニキビってできるんだ。生理前だからかな」。抗生物質の入った軟膏(なんこう)を塗った。だが、治らない。排尿時は「せーの」と力んで痛みをこらえた。翌日も仕事をした後、足をマッサージしていると左足のつけ根にしこりを見つけた。

 「何か違う」。自宅近くのクリニックに行くと、性器ヘルペスと診断された。完治しない病気と知っていた。

なぜ、私が…

 「私はコロナと闘っているのに、なぜ」。帰宅すると、ショックで泣き崩れた。処方された薬を飲んでも、なかなか症状は治まらなかった。ヘルペスは仕事で無理が続いたり、体力が落ちたりすると再発することがあり、痛みが伴う。

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