>>76
まず、そもそもなぜ水中では電波が使えないのですか?

電波は、水中での減衰(波が弱まっていくこと)が激しいんです。電波は文字どおり“波”のかたちで伝わり、周波数が高いほどその波が細かく、たくさんの情報をのせることができます。でも、それは気中(空気中)での話であって、水中では周波数が高いほど減衰してしまいます。

スマホの通信で使っている800MHzや1.5GHz、2GHzといった高い周波数の電波は、水中では数cmで消滅します。低い周波数なら水中でも多少は伝わりますが、たとえばAMラジオなどで用いられる1MHz前後の周波数でも、水中では1m先で3%弱しか残りません。
――では、水中では電波による通信は行われていないのでしょうか?

潜水艦では超長波といわれる周波数の非常に低い電波で通信していることはありますが、送れるデータ容量が小さいので、用途は単純な文章や数字、暗号の通信に限られます。しかも送信するには潜水艦には搭載できない巨大アンテナが必要になるので、陸上から海中へ送信するだけの一方通行になります。

水中通信の手段として電波はほとんど使えないので、昔から「音響」を利用した通信が行われていて、最近は「光」を利用した通信が注目を浴びています。


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