安倍晋三元首相が奈良市で2022年7月、参院選の街頭演説中に銃撃されて死亡した事件を受け、奈良県の自民党有志らが安倍氏の慰霊碑を市内の私有地に設置することが、党関係者への取材で明らかになった。慰霊碑には安倍氏が好んだ言葉や過去の功績を刻む方針で、事件から1年を迎える来月8日までの完成を目指している。

 党関係者によると、奈良県選出の国会議員ら有志が、奈良市内の霊園の一角で慰霊碑の設置を計画。有志でつくる団体が市民らに会員を募り、その会費などを整備や管理に充てる。また、来月8日と9日には近鉄大和西大寺駅前の事件現場周辺に献花台を置くことも予定されているという。

 安倍氏の慰霊碑を巡っては、奈良市が現場での設置を一時検討したが、市民から「事件を思い出したくない」などいう反対の声が寄せられて見送られた経緯がある。市は23年3月、事件前に決定した計画通り現場一帯を車道とする整備を終え、近くの歩道に追悼の花壇を設けた。

 慰霊碑の設置計画に関わった党関係者は「志半ばで凶弾に倒れた安倍氏の魂が安らかに鎮まり、功績が末永く継承されるような碑にしたい」と語った。

https://mainichi.jp/articles/20230623/k00/00m/040/248000c