■プロデューサーの青沼氏は「ズルは楽しいもの」と語る
大抵のゲームにおいて、開発側が想定しないアプローチは、ズルやチート(不正行為)とみなされることも少なくない。ところが本作は、開発側が用意した王道パターンだけを正とせず、プレイヤーたちのあらゆる創意工夫を受け付ける。それでもなお、ゲームバランスが崩壊しない堅牢さと懐の深さを備えている。

ヘドロをまとった敵を討つシーンでは、水の能力を持った仲間と共闘して泥を洗い落としても良いし、手持ちの剣に放水アイテムを合成して振るだけでも効果が得られる。1つの状況に対し、「これでないと前へ進めない」という縛りは、どんな場面でもほぼない。

ダンジョンに相当する「祠(ほこら)」の解き方も、アプローチは多様だ。純粋に謎解きと向き合うプレイヤーから、巧みな発想で壁を乗り越えるなどして駆け抜ける強者まで、十人十色のスタイルがソーシャルメディアを賑わせている。

『ゼルダの伝説』シリーズ総合プロデューサーを務める任天堂の青沼英二氏は、米ゲーム・インフォーマー誌のインタビューに応じ、「ズルは楽しいものです!」と語っている。開発姿勢として、意図的に“邪道な”クリア方法の余地を残したと氏は明かす。

青沼氏は続ける。「近道を見つけるのは、楽しいことです。苦労せずにすむのであれば、誰だって簡単な方法を探したい。本作にはそうした要素を残したかったんです」「たくさんのやり方を用意し、1つの謎解きに対して多くの答えがあって、そしてどれもが正解となり得る。そんな開発スタイルにたどり着けたことを、私は幸せに思います」