市企画政策課やJRによると、21年8月にJRが「持続可能な鉄道ネットワークの維持」に向けた経費削減を理由に、市に同駅トイレ閉鎖か、トイレ譲渡を初めて打診。市はその際に閉鎖には反対した。

 JRは22年4月、駅利用者以外も使える公衆トイレに改修して市に譲渡すると市へ正式に提案した。譲渡後の維持管理費は市負担とし推計は年間約34万円。市が譲渡を断った場合、トイレを閉鎖するとした。

 市は維持管理費のほか、50年以上前に建設された古い和式トイレを更新する費用も発生すると試算。厳しい財政状況などにより、提案受け入れは困難と結論付けた。22年6月にJRの提案を断り、閉鎖方針が固まった。今年2月の閉鎖後も両者は再開に向けた協議を継続しているが、打開策は見いだせていない。

 駅でトイレが利用できない異例の状況に、市民らは「永田駅のトイレを存続させる会」を発足。事務局の新倉雅樹さん(60)は「駅にトイレがないのは考えられない」と憤る。約190人分の署名を集め、金坂昌典市長に再開の陳情書と一緒に提出する方針。

 通勤で同駅をほぼ毎日使う男性会社員(60)は「駅のトイレはたまに使っていた。あったほうが便利で、ないと不便だ」と話した。

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