ハーバード大学ダグラス・ディロン教授。

ロシアの傭兵リーダーによる異例のクーデター未遂は、ウクライナにモスクワとの戦争で優位に立つための思わぬ機会を与えている。ウクライナがこのチャンスをつかみ、ウクライナ東部の戦場を支配している停滞を打破しなければ、この紛争はまったく異なる章を迎えることになるだろう。

ウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月にウクライナに侵攻した際、ロシア軍は1週間あたり1,000平方マイル以上のウクライナ領土を占領した。その後、ウクライナの反攻がロシア軍を押し戻し、毎週数百平方マイルを回復するという第2段階が続いた。

しかし昨年11月、戦争は第3段階に入った:この8ヵ月間、双方の死傷率は依然として高いものの、両軍とも1週間で100平方キロメートルの領土を獲得することはできなかった。

ウクライナの反攻が始まって4週目に入った今、この基準からすれば、予後は同じことの繰り返しであることは避けられない事実だ。これまでのところ、ウクライナの攻撃隊が毎週奪還できたのは50平方マイルにも満たない。分断の両側で、それぞれが塹壕を掘り、地雷を設置し、防御を構築しているため、他方が突破口を開くために通常必要とされる3対1の有利な攻撃力を動員することは難しい。

この問題を整理してみよう:現在、ロシアはウクライナの領土の約17%を支配している。ウクライナ軍が今後数週間、これまで以上の成功を収めなければ、ウクライナは16年間、すべての領土を奪還することはできないだろう。

一方、ウクライナ軍が夏の間泥沼化したままであれば、この戦争の政治的側面が事態を左右することになるだろう。欧州や米国のウクライナ支持者の多くも、両陣営に殺戮をやめさせ、停戦に向けた真剣な交渉を開始するよう求めるグローバル・サウス(南半球)の大合唱に加わるだろう。

https://www.washingtonpost.com/opinions/2023/06/26/russia-coup-ukraine-opportunity-stalemate/