小田急線切りつけ事件“『勝ち組』女性など殺したいと考えた”
2023年6月27日 17時20分

おととし、東京 世田谷区を走行していた小田急線の車内で複数の乗客が切りつけられてけがをした事件で、乗客3人に対する殺人未遂などの罪に問われている被告の初公判が開かれ、被告は起訴された内容を認めました。
検察は事件の背景について「いわゆる『勝ち組』の女性など幸せそうな人たちを殺したいと考えた」と主張しました。

おととし8月、東京 世田谷区を走行していた小田急線の車内で、複数の乗客が刃物で切りつけられるなどして重軽傷を負った事件では、無職の對馬悠介被告(37)が当時20歳の女子大学生の胸や背中を刺して全治およそ3か月の大けがを負わせたなどとして、乗客3人に対する殺人未遂や、窃盗などの罪に問われています。

27日、東京地方裁判所で開かれた初公判で、被告は起訴された内容を全面的に認めました。

冒頭陳述で検察は「友人や女性から見下されたりしていると感じ、幸せそうなカップルやいわゆる『勝ち組』の女性など幸せそうな人たちを殺したいと考えるようになった」と主張しました。

そして、直接的なきっかけとして「事件当日、食品の万引きを従業員に見つかり、警察に通報されて謝罪させられたことに激しい怒りを感じた。従業員を殺そうと思ったが店が閉店していると思い、電車内で多くの人を殺すことで怒りをおさめようとした」と述べました。

一方、弁護士は「確実に殺そうという強固な殺意はなく『死んでも死ななくてもかまわない』という程度だった。被告は20歳のころに精神的な病気になり、気分の浮き沈みがあったが、事件後は薬を飲んで安定し、深く反省している」と主張しました。
事件の経緯と双方の主張
なぜ、走行中の電車内で無差別に乗客を襲ったのか。

初公判では事件に至るまでのくわしいいきさつが明らかになりました。

【犯行に至る経緯】
検察の冒頭陳述によりますと、被告は大学を中退したあと職を転々としていましたが、おととし無職になり、生活保護を受けていました。

かねてから男性の友人から見下されたり、女性から軽くあしらわれたりしていると感じ、幸せそうなカップルや男性にちやほやされる「勝ち組」の女性など幸せそうな人たちを殺したいと考えるようになったということです。

その結果、逃げ場が少なく乗客が無防備な電車内での無差別殺人を考えるようになったとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230627/k10014110301000.html