原作はピュリッツァー賞に輝いたノンフィクション『オッペンハイマー「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』。
執筆者のひとりである歴史家のカイ・バード氏は、5月18日にプリンストン高等研究所で開催されたイベントに登壇し、
「先週映画を観ました。とにかく衝撃を受け、ようやく精神的に回復してきたところです」と述べた。

「(『オッペンハイマー』は)驚くべき芸術的成果となるでしょう。
私はこの映画が、国内や世界における議論を活発化してくれることを願っています。
オッペンハイマー自身が必死に語ろうとした、核の時代にいかに生きるかということ、
爆弾といかに共存するかということ、
そしてマッカーシズム(反共産主義運動)について。
愛国とはなにか、科学や技術にどっぷり浸かった社会における科学者の役割とはなにか。

若い世代の方々はこの映画を観に行き、オッペンハイマーの人生から何を学ぶことができるのかと考えることになるでしょう。
AIにどう向き合うか、これから何が起き、その結果がどうなるかということについて。」

第二次世界大戦中、オッペンハイマーは原子爆弾の開発・製造計画「マンハッタン計画」を主導。
しかし、のちに核兵器の国際管理の必要性を訴え、水素爆弾への抗議活動に取り組むようになった。
劇中ではその変化も含め、ほとんどの出来事がオッペンハイマー自身の視点で描かれるという。

米WIREDでは、ノーランが関係者向けの試写の様子について、「(試写後)完全に打ちのめされ、何も言えなくなっている人もいます」と明かした。
また、最近とあるフィルムメーカーに本作を見せたところ、その人物は「一種のホラー映画だ」と口にしたそう。
ノーラン自身も「否定しません。この映画を仕上げはじめた時、これまで作った映画にはなかった色、純粋な闇があることを感じました。それと戦う映画なのです」と語った。

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