「ジェンダーレストイレ」も政治の火種に…なぜアメリカで「LGBTQを支持しない」州が続々と増えているのか
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トランスジェンダーの権利を制限する法律が、保守的とされる19州で次々と成立している。中でも最も厳しいのが、フロリダ州で5月中旬に成立したばかりの法律だ。

一般的にトランスジェンダーが性別適合治療を受ける場合、まず第2次性徴抑制ホルモン(思春期ブロッカー)を使用し、その後自認するジェンダーのホルモンを摂取する。
アメリカでは思春期の子供たちに対して過去10年以上にわたり行われている医療だ。
フロリダ州は、未成年のトランスジェンダーに対しこうした医療を禁止した。さらに、医療を提供した者には、最高5年の禁固刑が科される可能性がある。
州は、未成年へのこうした治療が、子供の意思に反し親の決定で行われる恐れがあるためと説明。このほかに、LGBTQに関する本を小中学校の図書館から撤去し、性的指向や性自認に関する授業も高校まで禁止した。

女装のパフォーマンスを禁止する州も
しかし、男女の性差の違いを意識するのは3歳頃からといわれており、こうした子供たちの10人に1人は、早ければ13歳でカミングアウトすることもわかっている。
アメリカ保健福祉省も、「思春期の子供たちがこうした医療を受けることは、健康と幸福にとって極めて重要」と指摘している。
そのため個人や家族の決断であるべき医療に政府が介入することは、選択肢を奪うという批判も強い。さらに刑事罰まで与えることで、反LGBTQ意識を煽あおり、
トランスジェンダーの子供たちを肉体的にも、メンタルにおいても危険に晒さらすものである、と怒りの声も上がっている。

NBAマイアミ・ヒートの元スーパースター選手、ドウェイン・ウェイドの言葉が象徴的だ。トランスジェンダーの15歳の娘を持つ彼は、
「娘や家族の安全を考えるともうフロリダには住めない」と、つい先日カリフォルニアに引っ越してしまった。

未成年トランスジェンダーへの医療は19の保守州で禁止され、そのうち5つの州では犯罪となる。また禁止法は医療にとどまらない。
現在全米21の州で、トランス女性選手が女子スポーツに参加するのを禁止している。

余波はトランス以外のLGBQにもおよび、ケンタッキー州、テネシー州、そしてフロリダ州では、ドラァグクイーンなど女装した男性演者が、公共の場でパフォーマンスを行うことを禁止した。