【シントラ(ポルトガル)=中西梓】日本銀行の植田和男総裁は28日、ポルトガルのシントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムで、就任後初めての海外での公開討論会に臨んだ。発言の合間に次々とジョークを飛ばし、会場を沸かせた。

 植田総裁は、通常は半年から2年とされる金融政策が実際に効果を発現するまでの期間を問われると、「私が日銀審議委員を務めた25年前も、政策金利は0・2%~0・3%だった。期間は少なくとも25年のようだ」と述べ、会場は大きな笑い声に包まれた。円安の理由については「(討論会に出席した米英欧の)3中銀(の利上げ)のせいでもある」と各総裁を前にして語り、討論会の最後には「これほど多くの会見や出張があるとは知らなかった」と嘆いた。

 各国の報道関係者が待機するプレスセンターでも、植田総裁が発言するたびにどよめきが起き、これまでの日銀総裁とは違うという印象を与えたようだ。欧州メディアの記者は「植田氏は話が面白く、とても親しみやすい。去年もこのフォーラムを取材したが、今日のほうがずっと良かった」と興奮気味に話していた。

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