中国・四川省に住む実業家の男性が今年、27回目の大学受験に挑戦した。結果は目標に届かず、「もう終わりにするかもしれない」と話している。

梁実(リアンシー)さん(56)はこれまでの人生でさまざまな職業を経験し、最終的には自ら事業を起こした。結婚して息子も1人いる。

だがひとつ、まだ達成していない目標がある。全国統一の大学入試、通称「高考」で一流大学に入れる点数を取ることだ。

40年前に初めて受験してからずっと自分の成績に満足できず、今年も1300万人近い受験生の1人として、27回目の高考に挑戦した。

中国では、年に一度だけ実施される高考の点数で大学の合否が決まる。梁さんが長年受験し続けてきたことは、すでに国内のニュースで取り上げられている。

高考は難易度が高いことで知られる。今年の試験を終えた後、梁さんは「TikTok(ティックトック)」の中国本土版「抖音(ドウイン)」に投稿した動画で、あまりいい出来ではなかったと振り返り、「今年はいい大学は少し難しいかもしれない」と書き込んだ。

23日に発表された成績は750点中428点と昨年より下がり、心配した通り不本意な結果になった。これまで何十年も目指してきた名門の四川大学はおろか、ほとんどの大学の合格ラインを下回っている。

結果通知を開ける瞬間の様子は、地元放送局がSNS上でライブ配信した。梁さんはこの中で「本当にがっかりしている」「今年は少し失敗したと思ったが、去年より悪い点数になるとは予想しなかった」と話した。

高考は中国語、数学、外国語と、理科総合(物理、化学、生物)または文科総合(政治、歴史、地理)の計4科目。梁さんは全科目で苦戦したが、特に中国語と文科総合の点が低かったという。

中国の国営英字紙チャイナ・デイリーによると、梁さんは四川省出身で、1983年に初めて高考を受験したものの、大学合格に必要な最低限の点数に到達できなかった。翌年も挑戦したが、同じような結果に終わった。

それからの10年間で、専門学校に進んだがまもなく退学し、雑用を請け負ったり材木工場で働いたりしながら結婚もした。この間も受験勉強は続け、実際に高考を受けた年もあった。92年には南京大学の合格点を取ったが、それでは物足りないと辞退した。

やがて受験資格のある年齢を超えたため、数年間は試験を受けられず、セールスマンとして働いた後に自分の工場を開いた。

2001年に年齢制限が撤廃されたため、受験を再開。最初は何年かに一度だったが、10年以降は毎年受けてきた。

この1年間は朝8時に家を出て友人の喫茶店で勉強し、深夜に帰宅する日が続いた。四川大学は無理かもしれないと思い直し、主要大学に合格できればどこでもいいと考えていた。

だが結果は思わしくなかった。来年また受験するかどうかは分からないし、来年がだめならそれであきらめるかもしれないと話す。

それでも「どこが問題なのかを突き止めて改善し、点数を上げることができれば、まだあきらめないかもしれない」と希望をつないだ。

https://www.cnn.co.jp/world/35205854.html