全国で相次いだ広域強盗事件のうち、京都市の事件を指示したとして逮捕された今村磨人容疑者(39)が、「刃牙」を名乗って指示を出していた疑いがあることが29日、捜査関係者への取材で分かった。同容疑者は「ルフィ」とも名乗っていたとみられ、合同捜査本部は指示内容に応じて使い分け、身元の特定を防ごうとしたとみて調べる。<下へ続く>

捜査関係者によると、今村容疑者は京都の事件で、闇バイトに応募した男に対し、「刃牙」を名乗ってレンタカーの調達を指示。やりとりには、一定時間が経過するとメッセージが消える秘匿性の高いアプリ「テレグラム」を使っていた。

強奪品運搬役の宮沢優樹被告(22)=組織犯罪処罰法違反罪で起訴=ら他のメンバー数人には「ルフィ」とかたり、滞在先のフィリピンから強盗のやり方や強奪品の売却方法などを指示したとされる。

京都の事件でこれまでに逮捕された13人の中で、「ルフィ」や「刃牙」が今村容疑者だと認識した者はいなかったとみられる。

今村容疑者は昨年5月2日、実行役ら4人と共謀し、京都市の時計店で、高級時計ロレックス41本(約6900万円相当)を奪ったとして、強盗容疑で逮捕された。

警察当局は京都の事件以降、今年1月までに東京や山口、広島、千葉で起きた少なくとも7件の強盗は、フィリピンを拠点とした特殊詐欺グループ幹部が「ルフィ」や「キム」などと名乗り、指示していた疑いがあるとみている。

今村容疑者や渡辺優樹被告(39)らグループ幹部4人は2月に同国から強制送還され、詐欺に絡む窃盗容疑で逮捕、起訴された。

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