メディアウォッチドッグ団体Media Matters for America(MMA)が6月22日に発表した調査結果で、米保守派メディアであるFox Newsが、AP通信やロイター通信のニュース記事に含まれる「性別適合ケア(gender affirming care)」という表現を「性転換(sex change, sex reassignment)」といった表現に頻繁に書き換えていることが分かった。
「性転換(sex change、sex reassignment)」という表現は、“ジェンダー移行とは性器の手術をすること”という誤った考えを助長するという理由から、AP通信やLGBTQ+団体によって不適切な表現だとされている。しかし、保守派の間では恐怖を煽るために手術のみにフォーカスした論調が極端に使われており、Foxニュースが表現を変えた意図はそこにあると思われている。
性別適合ケアには、セラピー、薬の服用、手術などさまざま医療ケアが含まれる。アメリカで未成年(※18歳以下)に手術が提供されることは非常に稀で、“幼児に性別適合手術が施されている”という誤情報が2023年5月にツイッターで拡散されたときにも、ノースカロライナ大学病院やデューク大学医療センターらが手術は「18歳以上」と明言した。保守派は、手術ばかりに焦点を当てて恐怖感情を煽ることで、セラピーをはじめとしたトランスの人々への医療ケアへの批判感情を高めていると批判されており、Foxニュースが「性別適合ケア」という表現を「性転換ケア」に変えたことも、手術をイメージさせる印象操作の意図があったとみられる。
AP通信とロイター通信では今回の調査を受けて、報道の意味や正確さを変えるような変更は認めていないとMMAにコメント。米時間6月22日に表現の変更や発言の改ざんを告発されたFoxニュースは、6月23日の時点で、フィンドリー議員の発言改ざんを訂正。ただ、その他18の記事での表現の変更についてはそのままとなっている。
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