ChatGPT等で有名な「生成AI」を使って発見された薬が、このたび第II相臨床試験に入り、最初の投与が患者に行われたと、開発者であるInsilico Medicineが発表した。米国と中国の複数の施設で行われる試験には、特発性肺線維症(IPF)の被験者60人が参加する。
「生成AI」という言葉は、人間のような会話をしたり、アートや画像を作成したりするボットを連想させる。しかし、香港とニューヨークを拠点とするInsilico Medicineは、衰弱性疾患の治療法を発見するために長年この技術を使用してきた。
Insilico Medicineは、技術トレーニングやAIプラットフォームのガイダンスを無料で提供するチップメーカー、NVIDIAのインセプション・プログラムのメンバーであり、2015年にNVIDIA DGXシステムを最初に採用した企業のひとつである、とNVIDIAのリリースは述べている。
Insilico Medicineは、創薬を支援する複数のAIツールを提供するPharma.AIプラットフォームを開発した。そのツールのひとつであるPandaOmicsは、例えばコロナウイルスのスパイクタンパク質など、病気に有利に働くターゲットを迅速に特定し、優先順位をつける。
Chemistry42と呼ばれるもう一つのツールは、PandaOmicsからのターゲット発見に潜在的な薬剤を設計する大規模な化学エンジンである。このツールは、ゼロから生成された薬物のような分子構造と、創薬のためのディープニューラルネットワークを提供する生成AIを使用している。
IPFに対する薬剤候補では、このプラットフォームは18ヶ月で80の分子を提供した。従来の手法では、同じ結果を得るのに少なくとも6年、4億ドル以上を要しただろう。Insilico Medicineはその10分の1のコストでそれを達成した。
https://texal.jp/2023/06/30/first-fully-ai-generated-drug-enters-clinical-trials-in-human-patients/