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料理研究家リュウジのレシピ本、なぜベストセラー連発? 「邪道にして至高」のレシピの魅力

料理研究家のリュウジによるレシピ本『リュウジ式至高のレシピ2 人生でいちばん美味しい!基本の料理100』が、3月25日に刊行されることが発表され、早くも2月28日付けのAmazon和書総合ランキングで4位にランクインするなど、注目を集めている
 リュウジは2017年、Twitterの投稿で料理研究家としての活動を始め、翌2018年2月には初のレシピ本『やみつきバズレシピ』(扶桑社)を上梓。同書には、リュウジがTwitterに投稿して約14万の「いいね」を獲得し、料理研究家としてブレイクするきっかけとなった「無限湯通しキャベツ」をはじめとしたレシピが掲載されており、「料理レシピ本大賞2018」を受賞している。その後に開設されたYouTubeチャンネル「料理研究家リュウジのバズレシピ」も大人気となり、いまや日本でもっとも知名度の高い料理研究家のひとりと言っても過言ではない活躍ぶりを見せている。

 これまでに発表してきたレシピ本は、扶桑社の「バズレシピ」シリーズのみで9冊を数えるほか、47都道府県のソウルフードのレシピを紹介する飛鳥新社の『県民バズごはん』、“悪魔的においしい”をテーマにあっと驚くレシピを紹介するライツ社の『ひと口で人間をダメにするウマさ! リュウジ式 悪魔のレシピ』など、約20冊にもおよぶ。中でも2021年に刊行されたライツ社の『リュウジ式至高のレシピ 人生でいちばん美味しい! 基本の料理100』は、8刷16万部を突破し、2022年上半期実用書ランキング第1位(日販・トーハン調べ)となる快挙を成し遂げている。今回、刊行されたレシピ本『リュウジ式至高のレシピ2』は、その第二弾ということで、注目度が高いのも頷けるだろう。

 さて、『リュウジ式至高のレシピ』シリーズではどんなレシピが紹介されているかというと、第一弾ではハンバーグ、ポテトサラダ、唐揚げ、炒飯などごく基本的な料理のレシピが紹介されている。しかし、その調理法が独創的で、まさに「邪道にして至高」というコンセプト通りの内容となっているのだ。例えばポテトサラダ。じゃがいもは茹でてもレンチンしても味は「あんまり変わらない」と言って、刻んだニンニクとともにレンジで調理。熱々のポテトに炒めたベーコンを混ぜたあとは「絶対に入れてください」と言って、料理人の間で賛否両論の「味の素」を勢いよく6振り。マヨネーズとあえて、ブラックペッパーを振りかければ完成だ。一人で晩酌するのにぴったりな、酒のすすむ味わいである。リュウジのレシピは、あまり料理が得意ではない人にも真似しやすく、安価で、しかも旨いときているのだから、人気が出て当然といえよう。特に、コロナ禍で自炊を始めたという一人暮らしの方などに、『リュウジ式至高のレシピ』は大いに役立ったのではないだろうか。

 ところで、YouTubeでも見ることができるレシピなのに、なぜ本がこれほど売れるのだろうか。リュウジ自身は、レシピ本について「レシピ本の文化が失われてほしくないので、いまも出版し続けています。ページをパッと開いて、そのまま調理の参考にできるのがレシピ本のいいところです。料理を作るペースは人それぞれですし、動画のスピードに追い付けなかったりするじゃないですか。だから、動画で細かいところを一度見て、2回目以降は本を読んで自分のものにしていくという感じで、どちらも楽しんでいただけると嬉しいですね」と語っている(参考:鏡リュウジ×料理研究家リュウジ 特別対談)。なるほど、たしかにキッチンで見ながら調理するには、本の形式が向いているのかもしれない。

 ちなみに版元のライツ社は、兵庫県明石市にある少数精鋭の小さな出版社ながら、話題作を続々と生み出していることでも有名だ。同社から刊行される第二弾となれば、単に違うレシピが載っているだけではないはず。「前作よりも圧倒的に、台所に立つ人に寄り添った『至高の家庭料理』」と謳うだけあり、「至高の納豆ごはん」「至高のもやし炒め」「至高の目玉焼き」など、いつものおかずをグレードアップさせるようなレシピが数多く掲載されているようだ。この一冊があれば、自炊がもっと楽しく、美味しくなるのは間違いなさそうである。