見えた「スマホの一眼カメラ越え」、ハードとソフト両輪で
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02453/061600005/

 スマートフォン向けカメラ(スマホカメラ)の進化はとどまるところをしらない。

複眼化や画素の微細化によってカメラ性能は向上しており、2024年にはスマホカメラの静止画の画質が一眼(レフ)カメラの画質を超えるともいわれる。

一眼カメラと比べると、センサーサイズが小さく、レンズの交換ができないスマホカメラがどうやって一眼カメラを超えるのだろうか。進化の先を読み解く。

 「静止画では数年以内に、一眼カメラの画質を超えるとみている」。

2022年、ソニー セミコンダクタソリューションズ(SSS)代表取締役社長兼CEOの清水照士氏はイメージセンサーなど映像関連事業の説明会でスマホカメラについてこうした見通しを示した(図1)。

スマホ向けで進むイメージセンサーの大口径化に、同社が開発する高飽和信号量技術(強い光が入射しても正確に電気信号に変換できる技術)、人工知能(AI)などを組み合わせて実現する。24年にも「一眼レフ超え」を見込む。

 スマホ向けなどのイメージセンサーでトップシェアを握る同社がこうした見方を示したことは、スマホカメラ技術の急速な進化を象徴している。

スマホ市場では近年、カメラ性能が製品の魅力を訴求するうえでの重要な競争軸となった。米Apple(アップル)や韓国サムスン電子など、大手スマホメーカーはこぞってカメラの複眼化などを進めた(図2)。

センサーサイズも大型化が進み、2022年からはスマホに1型センサーを採用する動きが出てきた。

 スマホカメラの性能は数年前から、コンパクトデジタルカメラをしのぐ水準にある。

コンパクトカメラの市場はスマホに侵食され急速に縮小した。

一方、一眼カメラはイメージセンサーやレンズなどの性能でこれまでスマホカメラとは一線を画していた。だが静止画については、スマホカメラの射程圏内に入りつつある。