https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20230630-00355995
『PayPay』の衝撃的決定:他社クレジットカードの利用停止延期と背後に潜む謎の株主関係
『PayPay』が『PayPayカード』以外の他社のクレジットカードの支払いを停止を発表したのが、2023年5月1日。それから53日後に、『一部クレジットカードの新規登録および利用停止の見直しについて』というリリースがなされた
とても、気になるのは、他社クレジットカード排除の撤回ではなく延期というので他社カード追い出しという路線はそのままである。1年半の余裕があったとしても、クレジットカードの紐づけなどは一度してしまえばそのままという人が大半ではないだろうか?
時間の余裕はあれど、結局は『PayPayカード』だけしかクレジットカードでの決済ができなくなることにはかわりはない。
■複雑怪奇な『PayPay経済圏』の大株主たち
今回の他社の『クレジットカード廃止』は『PayPay』の事業の黒字化同時に、IPOも視野にいれた、ソフトバンクのグループ目標としての2025年までの金融事業の黒字化と大きな関係があるようだ。
その前に、まず、今一度、『PayPay』という会社は誰の持ち物かということを考えてみたい。
『PayPay』はソフトバンク系列というのは、誰もがよく知っているが、どの会社の比率なのかは、非常に複雑だ。
■『PayPay』の親は一体誰だ?
大きく分類すると『ソフトバンクG』『ソフトバンク』『ZHD(LINEヤフー)』のプレーヤーたちだ
現在の『PayPay』の直接の株主比率でいうと
はどちらも『ソフトバンクG』の『ソフトバンクビジョンファンドSVF』からの出資となり、合計では、『ソフトバンクG』が34%として『PayPay』における出資比率はトップとなる。
さらに、『ZHD』の64.78%は『AHD』の出資であり、『AHD』の50%は『ソフトバンクKK』の出資である。さらに『ソフトバンクKK』の40.68%は、『ソフトバンクグループジャパン』が持ち、『ソフトバンクG』の29.16%は『孫正義』氏の出資であるから、孫正義グループと考えても良いだろう。
■『PayPay』が100%自由にコントロールできるのは実は『PayPayカード』だけだった
2022年10月、PayPayがヤフーから『PayPayカード』の株式を100%譲渡契約を締結してPayPayの完全子会社化が成立した。
2021年10月に『Yahoo!JAPANカード』から『PayPayカード』へとブランド変更一年前からおこなわれていた
PayPayのブランド変更で、『PayPay』ブランドがたくさん、生まれたが、実質100%『PayPay』の完全子会社は『PayPayカード』のみである。だからこそ、今回の他社カード排除も、完全にコントロールできる『PayPayカード』による専属カード決済計画は、『楽天市場』における『楽天カード』のような位置づけと考えらる。
『楽天』の場合は楽天ポイントが『ザクザク貯まる』という抱え込みで『楽天経済圏』を構築している。
他社カードとでは、PayPayポイントの溜まり方が大きく変わるという位置づけでも、十分他社カードからの乗り換えが可能なような気もする。
■『PayPay』が直接出資をしていない『PayPay銀行』
出典:KandaNewsNetwork,Inc.
一番、不思議な存在が、『PayPay銀行』だ。『旧ジャパンネット銀行』とあるように日本発のネット銀行として立ち上がった経緯があるからだ。
ヤフーでさえも途中からの出資であった。
筆頭株主は…
1『ZHD』の100%子会社の『Zフィナンシャル』が75.28%の出資でありながら、議決権は46.57%という異質な状態だ。
2.『三井住友銀行』は21.54%と出資比率をおとしてはいるが、議決権は46.57%と上位2社で93.14%の議決権がある。
3.さらに初期からの出資者であり、『ニフティ』を所有していた『富士通』が2.43%で議決権は、5.26%を保持している。
4.さらに、0.24%づつという、『三井住友海上火災保険』、『大樹生命保険株』、『住友生命保険相互』が並ぶ。
意外に株主に『PayPay』の名前はなく、親会社のひとつである『ZHD』の100%子会社の『Zフィナンシャル』が運営している銀行という見え方だ。
そして、異変を感じさせるのが、筆頭2位の『三井住友銀行』は、100%親会社の『三井住友FG』で『三井住友カード』などと共通の『Vポイント』を『CCC』グループが展開してきた『Tポイント』と統合し、2024年春に『新Vポイント』として登場することだ。現在でも『T-site』の紐づけには『Yahoo!JAPAN ID』が使われるなどで、『PayPay』が仕掛けた専用『PayPayカード』戦略であったが、『PayPay銀行』の筆頭第2位の株主が『Tポイント』から『Vポイント』となり、共にライバルになって来春にははじまるという