銀座の腕時計店強盗で、実行役グループが反社会的組織の支配下にあったことが、捜査関係者らへの取材で判明した。

 リーダー格の無職男(19)は事件前、別の強盗事件に関与したものの十分な成果を上げられず、「上」からの圧力におびえていたという。捜査幹部は「組織は若者を捨て駒としか思っていない」とし、関わらないよう呼びかける。(鈴鹿雄大)

 「前回、上が見込んだ利益を上げられなかった。『金を上げろ』と求められている。用意しないと」

 事件のリーダー格とされ、強盗などの非行内容で家裁送致された男は5月上旬、地元の横浜市の仲間に切羽詰まった様子でそう話したという。

 少し前の5月2日、岐阜県大垣市の住宅に4人組が押し入り、住人に暴行を加えた上で少なくとも現金160万円を奪う強盗致傷事件が発生していた。捜査関係者によると、男は指示役として関与したとされる。

 だが男の知人は「彼らの上には反社会的組織がいる。彼も指示を受けていた」と証言する。知人や捜査関係者によれば、組織の支配下には、不法行為に関わる複数の実行役グループがあり、男も一つのグループのリーダーにすぎなかった。

 男のグループには自身の友人ら10代の数人がいて、闇バイトで募った若者らと行動を共にすることもあったとみられる。

 男は、組織から「大垣の現場には何億円もの現金がある」との情報を得ながら強奪額が遠く及ばなかったことで、追い詰められていたという。そんな中、メンバーを代えて起こしたとされるのが、5月8日の銀座の仮面強盗だ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/260740