中国との経済交流を目的とした日本国際貿易促進協会(会長・河野洋平元衆院議長)の訪中団は5日、北京の人民大会堂で李強首相と70分間会談した。河野氏は、改正反スパイ法が1日に施行されたことを念頭に、「経済交流をしたい人たちのモチベーションを下げることのないようお願いしたい」と述べ、日本人が拘束されることへの懸念を伝達した。李氏は「率直かつ客観的な意見を聞かせてもらった」と語るにとどめた。
同行筋によると、河野氏は4日に行われた王文濤商務相との会談で、「中国駐在員の不安の一つは、反スパイ法に関わるものだ」と指摘。「不安の払拭を切に願う」と、中国側の適切な対応を促した。王氏は「誤解を解消したい」と答え、担当部局による説明の機会を設ける考えを示した。
一方、李首相は5日の会談で、日中両国が昨年国交正常化50年を迎えたことに言及し、「ますます成熟した関係にしていかなければならない」と強調。一方で、「目先のことだけにこだわるべきではない。一部の人は経済に政治を持ち込んでいる」と主張し、半導体輸出規制をはじめとする日本の対応を批判した。
5日の会談では、訪中団の玉城デニー沖縄県知事も発言し、「友好関係の強化とアジア地域の持続的な平和・繁栄に貢献したい」と表明。李氏は「(担当部局に)検討するよう指導し、解決の方向を見いだしたい」と応じた。
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