数々の名作を生み出し続けているスタジオジブリですが、そのなかでも1997年に公開された映画『もののけ姫』は、多くのファンを虜にし、公開当時の日本映画の国内興行記録を塗り替え、公開から十数年が経った現在でも、根強い人気を誇っています。

 そんな『もののけ姫』のストーリーのなかでも、特に気になるのが主人公・アシタカと、ヒロイン・サンの関係性ではないでしょうか。映画の完結後、ふたりの未来がどうなっていくのか、宮崎駿監督の発言とともに紹介します。

 物語の終盤、タタラ場の指導者であるエボシ御前が、生と死を司る神であるシシ神の首を銃で撃ち抜きます。シシ神は、夜になるとディダラボッチと呼ばれる巨人に姿を変えるのですが、デイダラボッチに変身する途中で首を落とされてしまったために、体液のようなどろどろの液体をまき散らしながら暴走し、多くの人びとや木々の命を奪い続けました。

 アシタカとサンは、ジコ坊の手に渡っていたシシ神の首を取り返し、シシ神に返還します。やがて朝が来て、シシ神は死んでしまいますが、シシ神の暴走によって死に絶えた山々は、ふたたび息を吹き返すのでした。

 森が生き返ったあと、サンは森に、アシタカはタタラ場にそれぞれ戻ることになります。ふたりが別れるとき、サンはアシタカに「アシタカは好きだ でも人間を許すことはできない」という言葉をかけています。

 映画のなかでセリフとしては描かれていないものの、実はこの時、アシタカはサンに対してあるリアクションを起こしているのです。『もののけ姫 スタジオジブリ絵コンテ全集11』のなかには、「アシタカがサンにプロポーズしている」というコメントがついています。先述のサンのセリフは、アシタカのプロポーズに対する返答だったのです。

 サンの言葉に対し、アシタカは「それでもいい サンは森で 私はタタラ場で暮らそう ともに生きよう」と答えています。その言葉を聞いたサンが、本編を通してずっと険しかった表情をくずし、おだやかな顔つきになった印象的なシーンです。
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