■問題(1) ファクトチェックをめぐる問

まず1つ目は、ファクトチェックをめぐる問題だ。アメリカを拠点とするファクトチェックのサイト「PoliteFact」は、政治に関連する主張や声明を「真実」「半分真実」「誤り」などと評価し、なぜそのような判断になったのか、そのプロセスや情報源を記載する活動を行っている。

ただ、このようなファクトチェック活動の大きな問題の1つに、「検証の対象国に偏りがある」という面がある。例えば、カナダのあるシンクタンクが2022年まで行ったファクトチェックを見ると、「3分の2」はロシアが対象となっている。

一方で、ファクトチェックの対象となりにくい国もある。

アメリカ政府は2022年3月、「ロシアが化学兵器を使用する準備をしている可能性が高い」と発表した。しかしこの発表については、3週間以上経って、アメリカメディアが「ロシアに対する『情報戦』の一環であり、証拠がなかったことを当局者が認めた」と報道するまで、この情報を検証するファクトチェックは出てこなかったのだ。メディア研究者らは、西側諸国のファクトチェックの対象が敵対国に偏っていることに懸念を示し、自国の情報も同じ基準で厳密に検証すべきだと主張している。

■問題(2) 「検閲」をめぐる問題

2つ目は「検閲」をめぐる問題だ。「検閲」とは、SNS会社などのビッグテック企業が自ら、あるいは政府などから要請を受けて、偽情報とみなされた投稿の削除、表示制限、あるいは発信したアカウントの停止といった措置を講じることを指す。

2022年末から2023年にかけてツイッターから流出したとされる内部文書「ツイッター・ファイル」をご存じだろうか。この文書には、“アメリカの政府機関が偽情報を発信しているなど、疑わしいと判断したアカウントをまとめたブラックリストを複数の民間団体と共同で作成し、ツイッターにその削除や表示制限を要請している”との主張が書かれている。これが事実かは分かっていないが、もし情報統制のプロセスに政府が大きく関わっているとなると、政府に都合の悪い情報を隠すことも可能になってしまう。

https://news.ntv.co.jp/category/international/502b6bc2e3a74db4adb9d7c27bfbcb2b

https://www.youtube.com/watch?v=2kj5RZfY3Pk