>>138
それは実際に法制審で理論的にどう正当化するかが問題になった(逆に言うと、年齢差要件は普通に考えると理論的に正当化が困難で、引き上げという政治的決定に辻褄を合わせるためのものにすぎないともいえる)

正当化のために刑法学者がひねり出してきた理屈というのが、同意年齢という概念を①性交の意味を理解できる能力と、②性交の求めに対して対処できる能力、という2つのレベルに切り分けること
そして13歳以上16歳未満のものについては、この②の能力が社会的経済的なパワーの格差があるなど、相手方との関係性によっては充分に発揮できないケースがあるとして、その場合には同意能力がないものとみなす、という理論的な立て付けになっている

この場合、相手方との相対的な関係性で決まる②の構成要件を規定するには、a. 個別具体的な関係性をその都度判断する実質的要件、b. 一律に年齢差によって関係性を判断する年齢差要件かのどちらかか、あるいはc. そのハイブリッドというやり方が考えられる

ドイツの同意年齢に関する条文はcのハイブリッド型で、14歳以上18歳未満の青少年と成人との性交は、青少年の対処能力が十分である場合には処罰しないという規定になっている
実は去年の10月段階で法務省の審議会が提出した成案にはこのドイツ刑法を参考にした同意年齢の規定があったのだが、土壇場で活動家らの巻き返しにあって年齢差要件一方になってしまったという経緯がある