
経営が苦境に陥った半導体開発の米新興企業Zグルーが2021年に特許を手放したことは当時、さして注目を浴びなかった。
しかし、それから1年1カ月後、中国の新興企業チップラー(奇普楽)が特許の保有状況を公開し、Zグルーが保有していた、半導体製造にかかる時間とコストを削減する重要な技術が、チップラーの手に渡っていたことが判明した。
チップラーが購入したのは、別々に製造された半導体チップを1つの基板上でブロックのように接続する「チップレット」と呼ばれる技術だ。
ロイターが米国と中国における数百件に上る特許、数十件の中国政府調達文書、研究論文、助成金、地方・中央政府の政策文書、中国半導体企業幹部へのインタビューなどを分析したところ、チップラーの特許取得とほぼ軌を一にして、中国でチップレット技術を推進する動きが起きていることが分かった。
専門家によると、米国が最先端半導体の製造に必要な先進的な装置や材料に中国がアクセスするのを禁止したことで、チップレット技術は中国にとって重要度が高まり、今では半導体内製化戦略の柱になっている。
チップラーのヤン・メン会長は、ロイターのインタビューでチップレット技術について「米中両国が競争で同じスタートラインに立っている」と指摘。
「(半導体技術の)他の分野では、中国と米国、日本、韓国、台湾の間には大きな隔たりがある」と話した。
ロイターの調査によると、中国当局は2021年以前にはチップレットにほとんど言及していなかった。
だが、近年は頻繁にこの技術に触れており、地方政府から中央政府まで少なくとも20件の政策文書が「重要な最先端技術」における中国の能力を向上させる広範な戦略の一環として、チップレットを取り上げている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f2c920a5a99a6825207fd367446af424ef22654f