https://news.yahoo.co.jp/articles/15b3285973c4ed24f2afafe037af2efbb425c4cd
キャリートレード好機の終わり近いとの懸念強まる、政策転換を警戒
キャリートレードは2023年の最もホットな投資手法の一つだが、これを実践している世界のトレーダーの間では、取引が頓挫するのではないかとの不安感が高まっている。
日本銀行が金融政策をタカ派的な方向に転換することで人気の資金調達通貨である円相場が押し上げられるリスクから、米連邦準備制度が利上げで米経済を景気後退に導くという債券市場のシグナルに至るまで、投資家の間では有利な低ボラティリティ-の取引環境が最終段階にあるのではないかとの懸念が高まっている。
低金利の国・地域の通貨で資金を借り入れ、利回りの高い新興国通貨を中心に投資する戦略にとって、大きな相場変動が再び起こることは致命的となり得る。
ドイツ銀行やDBS銀行などのストラテジストはキャリートレードの状況を一変させるようなリスクに留意している。ブルームバーグの集計によると、キャリートレードに関する一つの平均的な指標では上期に5%の利益をもたらしたが、使用する通貨ペア次第では約40%のリターンを得る可能性が示された。
DBSのストラテジスト、チャン・ウェイ・リアン氏によれば、インフレシナリオの逆転がそうしたリスクの一つ。為替変動率の上昇につながるからだ。
チャン氏は13日、「インフレ圧力が収まる中で連邦準備制度は利上げをほぼ終えている。一方、日本ではインフレの兆しが見られ、日銀が政策を微調整する可能性がある」と指摘。「ドル・円ロングのようなキャリートレードは、一般的に想定されている政策トレンドが予想外に反転した場合、脱線しやすい」と分析した。
今週の円高進行は、キャリー取引に関連した利益確定売りや、インフレ圧力の高まりに直面する日銀が今月中に政策を微調整する可能性に対するヘッジと絡んでいる。
ジェフリーズのストラテジスト、ブラッド・ベクテル氏は、「金利市場のボラティリティーの高まりが、広範なリスクセンチメントの幾らかの落ち込みと重なり、キャリートレードは手じまいされつつある」と指摘した。