首長給料「支持率」に連動、行政責任に一石 大阪・寝屋川市 大衆迎合に陥る懸念も

7/16(日) 18:30配信
産経新聞

行政運営への地域住民の評価、いわば「支持率」を首長の給料に連動させる新しい制度が大阪府寝屋川市で10月から始まる。発案したのは同市の広瀬慶輔市長。業績連動型の給料体系が民間企業で広がる中、給料の変動を通じて首長の経営責任を明確化する試みだ。東日本各地の首長に賛否を聞いた。

「民間では成果に連動した給料(制度)が多く採用されている。市長ら選挙で選ばれる人の給料のあり方に一石を投じたい」。広瀬氏は7日、寝屋川市議会で給料に関する関連条例案の可決後、こう意義を強調した。

■最大3割カット

支持率を反映した独自の給料制度の仕組みはこうだ。8月に実施予定の市民意識調査(無作為抽出の18歳以上の市民3500人対象、4年に1度)で、「過去4年間の市政運営の評価」に関する質問を設定し、4段階で評価してもらう。地域住民の支持率が50%を下回った場合に限り市長に加え、副市長2人と教育長の特別職給料を最大3割カットする。

一般的に首長の給料は、有識者らによる報酬審議会で他の自治体との比較や社会経済情勢などを勘案して決定し、関連条例で規定する。財政難などで首長自身が給料減額を表明するケースはあるが、支持率で給料が変動するのは「全国にも例がない」(寝屋川市)という。

東日本の首長の見解はどうか。多くの首長の意見を代弁しているのが山形県南陽市の白岩孝夫市長だ。「支持率連動の給料制度は斬新で挑戦的だが、賛成、反対のどちらかでは割り切れない」と指摘する。その理由をこう説明する。

「ともすると、ポピュリズムに陥る可能性があるからだ。行政トップは市民にとってつらい政策であっても決断しなければならないケースがある。住民から嫌われる政策でも何十年後には『あのとき、手を打っておいてよかった』と思える政策もある」

■痛み伴う決断も

山梨県富士吉田市の堀内茂市長は「給料に連動する支持率ばかりを気にしがちになる」と懸念する。「学校の統廃合がいい例だ。有権者である父兄や卒業生からは統廃合に反対運動が起きるが、効率運営の面からすれば統廃合が必要になる」。将来を見据えてリーダーシップの発揮を求められる政策もあるというわけだ。

加速する人口減少や少子高齢化など難題山積の中、地域のかじ取り役として住民の生命と財産を預かり、住民に痛みを伴う政策実施の決断も迫られる地域行政のトップにとって、支持率と給料は連動させるべきではないとの見方が強い。

市民評価の手法に疑問を呈する声もある。岩手県の達増拓也知事が「支持率の変動にもさまざまな要因がある。必ずしも首長の業績を反映しているとは限らない」といえば、北海道苫小牧市の岩倉博文市長は「住民側の市政への関心度や情報量が異なる。支持、不支持率で決めるのは意味がないのではないか」と指摘する。

※以下略※

https://news.yahoo.co.jp/articles/0a79dd120152786f223f500c5cbc9f72e1e3be1b