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安い魚で我慢 エサ代や電気代が高騰 動物の命守るため節約にも限界 北海道の水族館や動物園
行楽シーズンの一方で、北海道内の水族館や動物園では、エサ代や光熱費の値上がりに苦慮しています。
動物の命を守るため、節約にも限界があり、飼育の現場では知恵を絞りながら営業を続けています。
身体能力の高さを生かしたアザラシのショーや愛くるしい動きが人気のペンギンのショー。
おたる水族館には連日多くの親子連れなどが訪れ、賑わいをみせています。
一方で、その裏ではこんな問題に直面していました。
(おたる水族館 飼育部 角川雅俊次長)「これはイカナゴというんですけれども、これがペンギンに主にあげているエサです。資源が少なくなっていることに加えて、漁師さんが漁に出るときの漁船の燃料代、それから確保したあとの保存のための冷凍倉庫の電気代ですね、そういうものもすべて値上がりしていますね」
頭を抱えているのが、エサ代の値上がりです。
おたる水族館では対策として、イカナゴよりも価格の安い“小アジ”を本州から仕入れています。
水族館では50羽ほどのペンギンを飼育していますが、1羽が1日に食べるエサの量はおよそ500グラム。
ほかにも1日に20キロから30キロのエサを食べるトドなど、主力のエサがイカナゴという動物が多く、年間のエサ代を予算内の2500万円以内に収める努力をしているということです。
しかし、さらに追い打ちをかけているのが電気代です。
(石黒記者)「水族館ではこちらの水槽の温度を一定にするのが大変だということです」
バックヤードで見せてくれたのは、電気で作動する冷却器。
こちらは9℃に設定されています。
水槽内の温度は常に一定に保たなければならず、設定を変えることはできません。
そこでこんな工夫もー
水がたまると重さでバケツがひっくり返る「ししおどし」のような仕組みです。
(おたる水族館 飼育部 角川雅俊次長)「海とか川と同じように水に流れがないと魚が運動不足で病気のもとになっちゃうんですね。海に近い環境を作るために水に流れを作っている。こういう工夫をして、なるべく電気を使わないようなことは心がけていきたいなと思いますね」
おたる水族館では入館料は据え置きのまま、工夫をしながら営業を続けています。
(札幌から来た人)「子どもの成長のためにというか、いろんな動物と触れ合うのは大切だなと思うので、やっぱり続いてほしいなとは思いますね」
(新潟から来た人)「エサ代も結構かかりますしね、大変なんだろうなという印象です」
(新潟から来た人)「もっと観光客の方がいっぱい来て、もっとお互いによくなればいいんじゃないかなと思いますけれども」
道東の釧路市動物園です。
こちらでも去年秋から冬にかけて、アザラシやアシカなどのエサとして仕入れていたホッケの価格が前年より8%値上がりしたため、アジやサバなどほかの魚を仕入れていました。
しかし・・・
(釧路市動物園 平野静さん)「黒アジはちょっとサイズが大きすぎるのと、サバが小さすぎてコマイは動物の嗜好性は高かったんですけれども、在庫量が確保するのがなかなか難しかったというところになります」
動物園ではエサの節約は厳しいと判断。
そこで、動物ではなく“人が関わるところ”での節電に取り組みました。
冬でも日中は事務所内の照明を消し、暖房の設定温度も18℃。
職員は防寒着などで寒さを我慢するなど、動物優先の運営を続けてきたといいます。
いまは一時期と比べるとホッケの価格は落ち着いてきましたが、気が抜けない状況が続いているということです。
(釧路市動物園 平野静さん)「こちらも体調不良にならない程度に節約は常々心がけていきたいかなと思っております」
動物たちの命を預かる水族館や動物園では試行錯誤の日々が続いています。