2023/07/19 08:18 北海道の蒸気噴出、特産米に風評被害も…体調不良者訴える人が増加
7/19(水) 8:18配信
読売新聞オンライン

 北海道蘭越町湯里の地熱発電調査現場から蒸気が噴出している問題が長期化している。事業者の三井石油開発(東京)は18日の連絡会議で、8月中旬には噴出を抑えるとの方針を明らかにしたが、時間の経過とともに体調不良を訴える人は増加。町の特産米に対する風評被害も出始めるなど、発生から20日がたった今も事態の収束は見通せていない。(片岡正人)

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情報発信に遅れ

 住民の不信感を招いた一因は、三井石油開発の情報発信に対する消極的な姿勢や対応がある。

 発生当日、弁当配達で現場を訪れた女性が硫化水素中毒と診断されながら「住民不安をあおる」としてすぐに公表しなかった。また、現場で出たヒ素が含まれた濁水を観光名所「大湯沼」方面に放出。農業用水にも利用されているニセコアンベツ川への流入を防ぐため「現場にためておけず、やむを得ない措置」と釈明し反発を招いた。

 放出が判明した後の今月7日、金秀行町長は同社の担当者を呼んで抗議し、道も温泉法に基づいて放出を止める措置を取るよう要請。同社は17日、別の井戸にパイプラインを通じた移送を始めた。18日の連絡会議でも、金町長は「現場の状況と発表される情報が異なっている場合がある」と広報体制に注文を付けた。

取引量「半分に」

 発生から間もなく3週間となる中で、影響は広がっている。中でも深刻なのは、特産ブランド米として知られる「らんこし米」の栽培農家や取扱店だ。米穀店「丸石石田商店」の石田壮一社長(67)は「取引業者から約束していた量の半分は出荷を待ってほしいと言われた。昨年収穫した米なのに『らんこし米は危ない』というイメージが消費者に広がっているようだ」と肩を落とす。コメ農家の男性(50)も「関係ない地区もひっくるめて危ないと思われている」と憤った。

 これまでに体調不良を訴えた人は15人。同社は最初に訴えた女性について、因果関係を認めて補償する。同社の原田英典社長は18日の会議後、体調不良者や農作物への影響などの補償について具体的な基準を策定する考えを表明した。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/767dea5477f57bd3c10bab4115e9b9d1bba379ad