「何を言わんとしているのかよく分からない」

 しかし、三浦氏の主張を知ることは容易ではなかった。西脇氏の訴状に対して、三浦氏から答弁書が届いた。先方の弁護士の欄には、「弁護士法人 橋下綜合法律事務所」。いうまでもなく大阪府知事などを務めた橋下徹氏の事務所である。厳しい戦いになることを覚悟した西脇氏だったが、答弁書には首を傾げた。

 本書では、三浦氏の答弁書の一部を引用した後に、こう綴っている。

 何を言わんとしているのかよく分からないという方もいらっしゃるのではないかと思う。私もその一人だ。

 取材を前に私も三浦氏の答弁書を何度も読んでみたのだが、本当に意味がわからない。そのことを告げると西脇氏は、こう語った。

「テレビのコメンテーターは、その場の雰囲気に応じて、瞬間的に感じたままを発言することが多いものです。だから、後から文字にしてみると、まったく無内容な発言になっていることも、しばしばあります。そんなコメントが、そのまま答弁書の文章になっているようでした」
有名人も「同意見」という主張だが…

 その空虚さが如実に現れたのは三浦氏が提出した陳述書である。本書では、裁判の原因となったツイートをした理由についての部分が引用されている。そこで、三浦氏は津田大介氏、古市憲寿氏、池上彰氏、田原総一郎氏らの名前を挙げて、彼らも自分と同意見だったということを長々と記している。

 通例、裁判の陳述書だと存在する、原告の主張に対して論理的に、反論するような文章はほとんど見られない。単に、有名人の名前を並べ立てて、自分の味方の多さを見せつけようとする欲望のみが見え隠れしている。これに重ねて、控訴審で三浦氏は憲法学者の木村草太氏の意見書まで提出しツイートを「表現の自由」だと主張しようと試みている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f909dde49ed40949c9a52dcfc713246fdd130c6c?page=3