糸満ハーレーの一環で行われている「アヒラートゥエー(アヒル取り競争)」を巡り、中止を求める市議や複数の動物愛護団体と、運営する行事委員会との対立が深まっている。愛護団体は「動物虐待だ」と訴え、行事委員会は「糸満の伝統だ」と反論する。
対立は2015年ごろからあるが、両者が相まみえて話し合ったことはほとんどない。「冷静な対話が、今後の行事の在り方を議論するスタートだ」と指摘する市民の声も上がっている。
7月10日、アヒル取り競争の中止を求めるNPO法人アニマルライツセンター(東京都)の岡田千尋代表理事は、県庁で記者会見を開き訴えた。2015年から、行事委員会に中止を求めてきたが改善されていないと語った。
岡田代表理事は「ハーレー自体の中止は求めていない」としつつ、「アヒル取りは糸満の文化ではない。生きたアヒルの利用が、仮に行事の重要な要素だとしても、動物福祉の議論が高まる今の社会で必要なのか」と問題提起した。
●中国からの伝来
ハーレーは中国の「竜舟競争」が起源とされ、古くは三国時代(220~280年)の呉で行われた記録がある。糸満のアヒル取り競争についても、中国とのつながりを指摘する学説がある。
中国の竜舟競争では、印を付けた竹ざおなどを動かない「停標」として目標(ゴール)にする場合と、アヒルや浮きなどを、動く「浮標」として目標にする場合がある。「浮標」の場合は、船を操ってアヒルを追いかけたり、船から飛び込んでアヒルを捕らえたりして争う。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1189658