遡ること2カ月半の5月29日、佳史氏の姿は帝京大学霞ヶ関キャンパス(東京都千代田区)にあった。
平河町森タワーの9階に陣取る同キャンパスでは、その日、帝京大学グループのひとつである「学校法人荘山学園」の役員を改選するための理事会が開かれていた。
「荘山学園の理事長は佳史さんのお母様が務めていますが、体調が優れず、佳史さんの実の兄である、理事長代行の冲永荘八(しょうはち)さんが事実上“トップ”の座にあります。ところが、荘八さんと佳史さんは折り合いが悪くて……」
と、帝京大学グループの関係者が声を潜める。
「グループ内で“天皇”として権勢を振るう佳史さんですが、4歳上の荘八さんは目の上のたんこぶなんです。
他の職員らは言うことを聞くのに、お兄さんである荘八さんだけは物申してくる。佳史さんからすれば、荘八さんさえいなければ完全にグループを意のままにできるという気持ちがあるのでしょう。
ですから、荘八さんが荘山学園の事実上のトップであることが気に入らないのだと思います。荘山学園においては、佳史さんは一評議員に過ぎませんからね」
こうした佳史氏による「兄排除」の思惑からなのか、この日の荘山学園の理事会を巡って次のようなことが起きていた。
「理事会の前に、荘八さんサイドの人事案とは異なる人事案を“佳史派”が出してきて対立する事態になってしまったんです。
そのため理事会では、人事をどうすべきかが話し合われているところでした。評議員である佳史さんは外で待機していた。
ところが、しびれを切らした佳史さんが理事会に“乱入”したんです」(同)
その際のやり取りの一部が冒頭で紹介したものである。つまり佳史氏は、居並ぶ荘山学園理事たちの前で実兄を「お前」呼ばわりしたのだ。
それはすなわち、プライベートな場面ではなく、税制上の優遇を受ける学校法人の理事会という公的な場で面罵したことを意味する。
ここで改めて、本誌(「週刊新潮」)が入手した理事会の音源をもとに佳史氏の狂乱ぶりを再現する。
佳史氏「お前に(理事長)代行はできない!!」
荘八氏「こういうんじゃ議論ができない」
佳史氏「ふふふ風説ふふふ風説の流布流しやがって」
荘八氏「知りません、そんなのは」
こうした場では社会人の最低限のマナーとして敬語を使うべきであろうが、それもせず年長者に罵声を浴びせ続ける佳史氏。興奮している様子がヒシヒシと伝わってくる。なお、
「佳史さんは、ネット上にある帝京大学に関する悪評などを、荘八さんが流したと勝手に思い込んでいるみたいなんです。
当然、全く身に覚えのない荘八さんとしては『知りません』と言うしかありませんよね」(帝京大学関係者)
同じ帝京大学グループの仲間を「犯罪者扱い」する佳史氏の罵詈雑言は続いた。
佳史氏「知らなくない! お前がやったんだ!!」
荘八氏「知りませんよ」
そして、帝京大学グループの“ドン”として、上から目線の命令口調をやめない佳史氏の舌鋒はいよいよクライマックスを迎える。
佳史氏「お! ま! え! が! やった!! お! ま! え! が! やった!! お前が
やったんだよぅ!!」
狂気さえ感じさせる佳史氏の罵声に対し、さすがに荘八氏が「これ、ハラスメントです」と周囲に訴える。すると、佳史氏はさらにエスカレートしていった。
佳史氏「じゃあ、訴えろ!」
荘八氏「訴えることできますよ。これは」
佳史氏「よ~し! よし!! じゃあ100%やってやるぞや」
東京生まれの佳史氏がどこで「ぞや」という方言を覚えたのかは定かではないが、もはや荒ぶる感情を制御することができない彼は、ついに禁断の言葉を口に出す。
「受けて立つ!! 刑事訴訟さ、やってやる!」
学び舎(や)である帝京大学の学長が繰り出した刑事訴訟という“脅し”……。
帝京大学グループに通う学生・生徒、そしてその親御さんがこれを聞いたら一体何を思うだろうか。
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/07240557/