円債市場は世界のオアシス、金利動向不安定の中で-さらなる起債も
グローバル企業にとって円建て債の発行市場がここ数年で最も熱くなっている。金利のボラティリティーが急上昇する中、円債市場は資金運用者にとっていわばオアシスだ。
投資家はグローバル企業が発行する円債を買い集め、2018年以来で最も忙しい7月となった。カナダのトロント・ドミニオン銀行が初の公募円建て社債を起債したほか、韓国投資証券や仏銀BPCEがサムライ債を発行した。BCPEの起債規模は約2000億円と、機関投資家向けのサムライ債としては19年以降で最大だった。
海外企業による円建て債の発行は今年度これまでに、過去5年間で最高の1兆4400億円に達した。さらなる案件が進行中で、大韓航空は今週、円債を発行する予定だ。国内債券を含めて円建て社債の平均リターンは今年に入ってから1.2%で、12年以降の高い水準となっている。
日本銀行の植田和男総裁は金融緩和政策を維持する姿勢を繰り返し示しているが、インフレ率の高まりから微調整の必要があるのではないかとの観測も根強い。こうした中でブルームバーグは21日、日銀がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の副作用に緊急に対応する必要性は現時点で乏しいとみていると報じた。
日本企業の社債と比較して、国債上乗せ金利(スプレッド)が厚いことも投資家にとってはもう一つの魅力だ。海外の発行体に関する分析情報が少ないことがその背景にある。実際の格付けは、同等かそれ以上であることが多いにもかかわらずだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-24/RY9SZST0AFB401