共同通信は言論の自由を侵害している 元記者の石川陽一氏が共同通信を提訴

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プレスクラブ(2023年7月25日)

 共同通信の元記者で現在も非記者職の職員として同社で働く石川陽一氏が、記者職を外されたり本の重版を禁止されたりしたことは自身の言論の自由の侵害に当たるとして、550万円の損害賠償を求めて共同通信を提訴した。

 石川氏は2022年に書かれた『いじめの聖域』(文藝春秋)という著書の中で、共同通信の加盟社の長崎新聞の報道内容を批判したところ、長崎新聞は同書が名誉を毀損しているとして共同通信に抗議していた。その後、共同通信は長崎新聞に謝罪し、石川氏を記者職から外していた。また、石川氏は現在も雇用主である共同通信から、問題とされた箇所を訂正した上であらためて同社の許可を得られない限り、同書の重版を行わないよう命じられたという。

 『いじめの聖域』は2017年に起きた長崎市内の私立海星高校での男子生徒のいじめ自殺事件について書かれたもので、学校側が設置した第三者委員会が生徒の自殺の原因がいじめだったことを認定していたにもかかわらず、学校側はそれを認めず、県も学校の立場を追認していた。同書の中で石川氏は、県を擁護し遺族の主張を取り上げない長崎新聞の報道を批判していた。

 長崎新聞は共同通信からの記事の配信を受けるほか、共同通信の運営費用を負担している、民間企業の株主に当たる加盟社の1つ。石川氏は会見の中で、長崎新聞が石川氏本人や文藝春秋ではなく、長崎新聞に対して弱い立場にある共同通信を狙って圧力をかけてきたと主張した。

 原告弁護人の喜田村洋一弁護士は、共同通信の総務局長名で石川氏宛に出された「石川氏が記者として基本動作を怠って書籍を執筆し、共同通信の名誉を棄損させた」とした通知は、石川氏の名誉感情を侵害するものと言えると語った。

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