オーディションが主流で、実力主義のハリウッドは自分に合っていると感じた。しかし、「朴昭熙」の名前では日本人役のオーディションを受けることさえできない時期が続いたという。

「書類審査の段階で、本名で役者名でもあった『朴昭熙』と書いたら、『あなたは“オーセンティックジャパニーズ(本物の日本人)”じゃないので、日本人役はできない』と言われました。移民国家でこんなことを言われるのかと衝撃を受けましたし、オーセンティックという言葉が本当に嫌いになりました」

当時はハリウッド全体で、アジア系の俳優の起用が増える前だった。朴さんは「名前は大切なアイデンティティ」と考えてきたが、「朴昭熙」という名前の背景やルーツを知ろうともしない制作陣に、差別的な対応をとられることもあった。悩み抜いた末、朴さんは2016年、芸名を「ソウジ・アライ」に変えた。

父方が通名として使っていた「新井」と、「昭熙(ソヒ)」をよく言い間違えられる「ソウジ」をあえて使った芸名。名前を変えることは身を切られるような思いだったが、俳優を続けるための決断だった。

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