『シン・仮面ライダー』には“子ども成分”が足りない? “特撮ファン”宮下兼史鷹が分析

 お笑いコンビ・宮下草薙のツッコミとして活躍する宮下兼史鷹。芸人としての顔以外にも、ラジオや舞台など多岐にわたる活躍をしている。
おもちゃ収集が趣味、サブカルチャーに精通している無類の映画好きである彼の動画連載『宮下兼史鷹のムービーコマンダー』。
第6回となる今回は、全国公開中の映画『シン・仮面ライダー』の魅力について語ってもらった。
(中略)

宮下:ただ……そもそも僕がなぜ『仮面ライダー』が好きかって話になりますが、それはやはり仮面ライダーが子どもを助けるからなんですよ。
それがすごく身近に感じられたんです。子どもが「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」ってやってきて「お父さんの様子が変なんだよ」と仮面ライダーに訴える。
すると「なにっ、じゃあ俺が様子を見てやろう」って見に行くと結局怪人の仕業だった。それで倒して解決した後に「ありがとう、お兄ちゃん」って子どもが言う。
そういう意味で言うと、『シン・仮面ライダー』には“子ども成分”が足りていなかったと感じました。
TV版では、「その短パンどこで売ってるの?」って聞きたくなるような小太りの少年が駆け寄ってくるわけですよ。
演技も達者ではなく、本当に子どもらしさを感じさせる子が「助けて」って言って、その子の「ありがとう」を聞けるところが『仮面ライダー』の好きなところなんです。
『シン・仮面ライダー』はそれがないことによって、仮面ライダーが何を助けているのかがよくわからなかった。
まあ、ヒロインを守るって話がずっと続いて、その後は人類のために戦うわけですが、守っている者たちの顔が浮かばなかったんですよね。
だから、何を守っているのか、そこまではっきりと伝わってこなかったのが、本作にもう少し頑張ってほしかった部分ですね。
本来ならやはり、ラスボスと戦っているときに助けを求めた子どもの顔が浮かんだりするんですよ。
「負けないでライダー!」ってあの子が言っているんだろうな、と想像して感動するのが僕にとっての『仮面ライダー』なんです。

――言われるまで気づきませんでしたが、確かに本作には子どもが一切登場せず、
主人公の本郷猛(池松壮亮)とチョウオーグ(森山未來)らが子どもの頃から抱えるトラウマに向き合う話でしたね。

宮下:そうなんですよ。まあ、劇場には子どもの頃から本当に『仮面ライダー』が好きだったんだろうな、という世代のお客さんが多かったので、
彼らが子どもに還って映画を観るという点では“子ども要素”はあったかもしれませんが、劇中にもそれを感じたかったですね。

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