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日本の技、匠の心

関東エリアの元工場長:「サンドペーパーで側面、すり傷に見せかける傷。ブロック塀って、やっぱり白い傷で、ちょっと太めの傷がザーとつくので、それに見せかけた傷をサンドペーパーでつける。どうにかして傷を似せる、延長線上に見えるよう見積もりを作成。雹害のときは、ゴルフボールで見せかけて、損傷がないパネルまで、靴下にゴルフボールを入れて振り回して、雹害の跡をつけることはあった。損傷してない車両は、ヘッドライトの付け根をハンマーでたたいて折る。それでヘッドライト交換にする。リサイクル(部品)を使うので、安く仕入れれば、そこで稼げるので」

「赤錆のコツは味噌汁です。インスタントの安いやつ、豚汁とかはダメ。油が入ってるとうまくいかない。それをサンドペーバーで塗装を剥がしたところにぶっかけると、数日でサビが浮いてくる。味噌カスとかも茶色いから、いい感じで赤錆っぽくなる。錆びてて脆くなってるので、(部品が)落ちますよと。交換しないと危ないと。コロリと騙される」

「シートをナイフで切りつける。見えない部分にザーッと直線上に、いくつもつける。乾燥して破れたって言えば、バレないで見積もりにプラスできる。だってそんなとこ見てるわけないんだから(笑)。仮に見てても証拠がない。シートの端っこなんて、写真や動画に残しますか?」

「ホイールはハンマーで叩いて歪ませる。金属同士だと大きな音が出るから、布を被せて叩きつけるんです。お客さんにこれ払わせるんだなって考えると。心が痛んだ。でも、こっちも仕事だからと心を鬼にして、何度も叩いた。ウォッシャーには前日の缶コーヒーの残りを入れて、出し入れする。そうすると詰まってくれる」

「バッテリー交換は逆に新しいのを古いものに変えることもあった。そうやって確保したまだ使えるバッテリーを、完全にダメになった車が来たときに繋ぎ直せば、コストが浮くでしょ?オイルも交換したことにして、交換しない。こっちはさすがに入れ替えたりしないけど。とりあえずその場で動いて引き渡しの書類作っちまえば、あとは関係ないですから。むしろ調子が悪くなってくれたら、近くにうちしかないからまた売り上げがあがる。お客様には申し訳ないけど、知識を身に着けて自衛しなかった方も悪いです。もちろん罪悪感はありますし、こっちが全面的に悪いのはわかってますよ」