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夏の昆虫の代表格、カブトムシ。子ども心をわしづかみにするのは、なんといってもあの立派な角だろう。近年、丸い頭の幼虫から鋭い角ができる仕組みが明らかになってきた。クワガタ派の研究者をして「悔しいけど面白い」とうならせた、驚くべき秘密とは。
とても精巧な仕掛け
カブトムシの雄の角は、クジャクの羽のように見た目の良さで雌にモテようとするためではなく、雄同士の戦いに勝つためのものだ。相手の体の下に角を入れ、すくい上げて投げ飛ばしやすいよう、先端の面積が広くなるように進化したと考えられている。なんと、自分の体重の10倍以上を持ち上げられるとされる。
クワガタのハサミはあごが大きく発達したもので、ハチなど多くの昆虫が持つ形態だ。これに対し、カブトムシの角は「新奇形態」と言われる。
そんな唯一無二ともいえる角は、どのように形作られるのか。長年ベールに包まれていた謎が6年前、日本の研究者の手で解かれた。
実はカブトムシの角は、さなぎになる前にすでに仕込まれている。「角原基(つのげんき)」と呼ばれる直径1センチほどの袋状の組織が、くしゃくしゃに折り畳まれた状態で幼虫の頭の中にできる。さなぎになると、その内部に体液が流れ込み、風船のように膨らんで角になることが分かったのだ。一気に10倍近くに伸びるという。
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