【緊急特集】日銀YCC運用柔軟化は相場の転換点? 留意すべき3つのポイント

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―長期金利の変動許容幅の上限巡り思惑錯綜、日本株は乱高下もショック安は回避―

 日銀は28日まで開いた金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の柔軟化に踏み切った。

事前の観測報道があったとはいえ、今回最もサプライズをもって受け止められたのは、連続指し値オペの利回り水準が0.5%から1.0%に引き上げられたことだ。

今回の政策決定は相場の転換点となるのか。留意すべきポイントを押さえていく。



〜(略)〜



●緩和環境継続で日本株の下値は限定的か

 これまでいくつか留意点を挙げてきたが、コアCPIが日銀の見立て通り2%を下回る水準に今後、伸び率が鈍化したとしても、マイナスにならない限りはインフレであるのも確かである。

 水戸証券の酒井一・チーフファンドマネージャーは「日銀はマイナス金利からの脱却に向かっているわけではなく、インフレの定着自体は株式市場にはポジティブに働くだろう」と指摘。

「日本株は6月にかけての上昇で割高感が意識されたが、この先に仮に水準を切り下げたとしても、エントリーポイントが到来したと受け止めた投資家の買いが見込まれ、大きく崩れる展開は考えにくい」と話す。

 日銀の金融政策の決定内容は、決してわかりやすいものとは言えないが、ショック安が起きてもその日のうちに「粘り腰」をみせた事実自体は、安心材料といえる。

海外投機筋主導の長期金利1%アタックへの警戒感が消えたわけではないものの、ひとまず中銀ウィークは通過した。

金融市場が一段と落ち着きを取り戻す形となれば、企業決算や経済・物価動向を冷静に分析する局面を迎えることとなりそうだ。