街路樹に除草剤「たびたび散布」 上層部点検の直前、降格恐れか ビッグモーター関係者証言

中古車販売大手ビッグモーター(東京)の複数の店舗前にある街路樹が不自然に枯死していた問題で、ビッグモーター関係者が産経新聞の取材に「街路樹に社員が除草剤をまく様子をたびたび目撃した」と証言した。
散布は同社上層部が来店し美観をチェックする「環境整備点検」の直前だった。点検時に雑草や枯れ葉が目立つといった不備があれば降格の対象となるため、社員らは恐怖心を抱いていたという。

ビッグモーターは今月25日に東京都内で会見を開き、環境整備点検について「歩道を含めた店舗出入り口の前後10メートルにわたって雑草やごみを取り除くための指導」と説明。店舗前で街路樹が枯れているとの指摘が相次いでいるとの質問には、10年以上前に除草剤が街路樹に影響を与えた事例があったとした上で、「そうした指導は現在していない」と強調していた。

ただ、複数のビッグモーター店舗との間で長年取引を続けた下請け業者の男性は、少なくとも8年ほど前から、たびたび社員らが店先の街路樹に除草剤をまくのを目撃したと証言する。同社の幹部が月に1度のペースで訪れる環境整備点検の数日前だったという。

点検で幹部から不備を指摘されると、店の責任者らは人事上の降格処分を受ける可能性があった。そのため「社員らは降格を恐れ、展示する車の美観だけでなく、店周辺の雑草や枯れ葉の除去にも、異様なまでのこだわりを見せていた」と男性は説明する。
社員のストレスは、時として男性にも飛び火し、「親子ほど年が離れた若い社員から『あいさつがない』と怒鳴られた。相当イライラしているようだった」と振り返る。

実際、保険金の不正請求を調べた同社の特別調査委員会も、環境整備点検の実態について「スーツを着たお偉方が上から目線で難癖をつけに来るだけのイベントとなっていた」と報告書で指摘。降格処分を免れようと「工場従業員らが本来の業務である車両修理作業をそっちのけにしながら、場合によっては数日をかけて清掃や整理整頓等を行っていた」とも記している。

ビッグモーターの店先での街路樹の枯死は、東京や大阪、神奈川など複数の都道府県で確認された。各自治体が調査に乗り出し、既に除草剤成分が土壌から検出されたケースもある。

https://www.sankei.com/article/20230728-EEHUNNISVVPVHEYX23CBIU5STM/