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人体に侵入すると炎症を起こし、肝臓や脳を侵す…風呂や台所に潜む"殺人カビ"への正しい対処法
家の中のカビは人体にどんな影響を及ぼすのか。産業医の池井佑丞さんは「生活の至るところにカビは存在する。特に、風呂や台所に発生する“黒いカビ”には注意が必要だ」という
■「なかなか治まらない咳」の意外な原因
本格的な夏を迎え、気温の高さや湿度に参っている方も多いのではないでしょうか。そしてこの時期、特に注意が必要なのが「夏型過敏性肺炎」です。
この時期になると、なかなか治まらない咳を主訴に来室する人が増加します。夏風邪だと思い放置しているケースがほとんどですが、その中にはカビが原因の「夏型過敏性肺炎」が潜んでいる場合があります。
「夏型過敏性肺炎」とは、カビやホコリなどを繰り返し吸い込むことによりアレルギー反応を引き起こし、結果肺炎を起こす、過敏性肺炎のひとつです。夏に発症し、秋には症状が治り、同じ季節になるとまた症状を繰り返すのが特徴で、症状が悪化すると入院が必要となるケースもあります。
「夏型過敏性肺炎」はトリコスポロンというカビが原因とされており、知らず知らずのうちに吸い込むことにより起こる、非常に身近な病気です。エアコンが原因となる事が多く、職場のエアコンが原因で「夏型過敏性肺炎」を発症される方も見受けられます。
対策としては、エアコンの清掃が大前提です。その他には空気清浄機の設置や、個人の対策では不織布マスクも効果が期待できます。
■エアコンの使用時間が長いほどカビが増える
エアコンの風の通り道となるフィルター部分に発生するカビは、空気の移動によって部屋中にカビの胞子をまき散らすことになります。スイッチを入れた時にカビ臭を感じたり、咳き込むことがある場合は、カビの温床となっている可能性が非常に高いです。
エアコンの送風ファンや吹き出し口の部分には、肺炎やぜんそくなどのアレルゲンとなる「トリコスポロン」や「クラドスポリウム」などの好湿性カビが非常に多いことが分かっています。また、これらの好湿性カビはフィルターに溜まったホコリの中でも生育します。
一般家庭のエアコン使用状況とカビについての調査では、使用時間が長いほど多くのカビが検出されたそうです。1日12時間以上使用する場合に最もカビ数が多くみられることがわかり、使用時間が短くなると共にカビ数も減少傾向がみられました。
設定温度を28℃以上にしている場合と、24℃以下にしている場合でカビ数の比較を行ったところ、24℃以下の場合は28℃以上の場合に比べ2倍以上のカビが検出されました。設定温度が低いほどエアコン内に結露が発生しやすく、カビも生育しやすい環境となるようです。
■フィルター掃除をしてもカビは減らない
エアコンのカビ汚染には注意が必要ですが、だからといって使用を控えることは熱中症の危険もあるため現実的ではありません。そこで、清潔なエアコンを保つために欠かせない清掃について、上記に挙げた調査で少し意外な事実も示されているのでご紹介します。
掃除機でのフィルター掃除ではカビの減少は見られず、むしろフィルター掃除をしなかった場合に対し、掃除をした方がカビの量が多くなった例もあったそうです。水洗いや洗剤を用いた洗浄をおこなった場合であっても、一般カビ・好湿性カビどちらも減少傾向は確認できず、効果がなかったということです。一方、プロによる清掃サービスを受けた場合はカビ数の減少が確認され、効果がみられました。最近のエアコンに搭載されている自動クリーニング機能も内部のカビ抑制、特に高湿性カビには効果的であることが判明しています。
プロによるエアコンクリーニングを年に一回受けるだけでも、カビの発生数は優位に減少したということです。健康的な生活を送るため、清潔な状態を維持したエアコンを利用するよう心がけていただきたいと思います。
■湿度70%以上、気温15〜30度で繁殖しやすい
身近なカビの種類としては黒カビ、青カビ、赤カビ、白カビ、ススカビなどが存在します。食品や建物の内部、壁や床の表面、家具、布地、書類、植物や土壌など、カビは空気中のどこにでも存在し、条件が揃うと繁殖し、広がります。
カビ菌の種類にもよりますが、カビが繁殖しやすい条件は主に以下3つで、これらの条件が揃うと爆発的に繁殖します