【Q】忍者は、給料をどうやってもらっていたのでしょうか?
【A】忍者は身分の低い戦闘員、つまり足軽の身分です。情報探索や奇襲など危険任務が多く、さぞや給料はたくさんもらえるだろう……と思いきや、残念ながらそうでもありません。当時は身分制社会。戦場での貢献度と評価が釣り合うとは限らない、悲しい社会です。
戦国時代では、定期的に 禄ろく (給料)を支給されていた者もいたでしょうが、戦場ごとに臨時に雇われていた者も少なくなかったと推測されます。史料不足で、具体的な額まではわかりませんが、少ない額だったでしょう。
また、禄を与えない代わりに戦場での物 盗と りを許す場合さえありました。つまり、公認の泥棒です。相手の領地を荒らし回ることは効果的な攻撃になり、忍者たちも満足するので一挙両得です。当時、忍者の中にはおっかない人がたくさんいたでしょう。現代のような道徳は通らない時代でした。
一方、戦争のない江戸時代は、彼らの給料はどうだったのでしょうか。幕府や藩の各家に下級武士として常時雇用され、しかも事実上、代々その家に仕え続けるケースが多くみられます。
江戸幕府の伊賀者を例にとると、彼らの禄高は「30俵 二人ににん扶持ぶち 」です。つまり、1年間に米俵(3斗5升俵=重さ約53キロ)の30俵分が「基本給」で、さらに2人分の米(3・54石=約530キロ)が支給されました。
このように、当時は米だけで支給されます。江戸時代は米の値段が下がっていますから、金に換えても、内職しなければ、一家がかろうじて暮らしていける給料にはなりませんでした。「 札差ふださし 」という幕府公認の換金業者がいて、伊賀者は彼らから金を受け取っていました。
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