「後から抗議しても遅い」

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 神宮外苑地区の樹木を伐採、野球場とラグビー場を建て替え、高層ビルを建設する神宮外苑再開発に対する反対運動が止まない。

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 <突然のお手紙、失礼します。私は音楽家の坂本龍一です。神宮外苑の再開発について、私の考えをお伝えしたく筆をとりました。どうかご一読ください。率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年かけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません>

 今年3月28日に逝去した坂本龍一氏は、その直前の3月上旬、こんな書き出しで始まる手紙を小池百合子都知事に送った。

 作家の村上春樹氏は、6月25日、自身がDJを務めるFM番組『村上RADIO』で、「緑あふれる気持ちの良いジョギングコースを、すてきな神宮球場をどうかこのまま残してください。一度壊した物ってね、もう元には戻りませんから」と、述べた。

 神宮外苑再開発を行う三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の4者(社)は、理解を深めてもらうための住民説明会を7月17〜19日に開く。著名人の各種声明、それを受けたサイレントデモ、納得しない住民や環境団体による抗議など、反対運動が治まらないこともあって、丁寧な事業説明を行うという。

 だが、計画見直しはない。既に、神宮第二球場の解体工事には着手しており、今年8月からは3メートル以上の高木の伐採を計画している。理由は、事業者が法令に則って計画を策定、それを都が認可しているからだ。後から抗議しても遅い。もう決まったものだから、というわけである。

 ただ、神宮外苑再開発は「外苑は誰のものか」という視点を脇に置き、事業者の都合だけで進められてきた。今年2月、再開発事業は東京都によって施行認可された。各エリアの概要は以下の通りである。

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(1)ラクビー場棟(ラグビー場、店舗など) 地上7階55メートル 日本スポーツ振興センター(事業主体・以下同)
(2) 事務所棟(伊藤忠商事本社ビル) 地上38階190メートル 伊藤忠商事
(3)ホテル併設野球場棟(野球場、ホテル)14階60メートル 明治神宮(野球場)三井不動産(ホテル)
(4) 複合棟A(事務所、店舗) 地上40階185メートル 三井不動産
(5)文化交流施設棟中央広場(施設、店舗など)地上1階 三井不動産
(6) 複合棟B(サービスアパートメント 室内球技場など) 地上18階 三井不動産
(7)聖徳記念絵画館前エリア(広場、会員制テニス場など) 明治神宮
https://news.yahoo.co.jp/articles/f55114377d1a8ac1ffc56df922b03739e3644592