彩子さんスタイルで応援上映に臨んだ女性。応援グッズを手にした観客たちで華やかな会場の中でもひときわ目を引いた
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 昨年12月から超ロングヒットを続ける人気バスケットボール漫画「スラムダンク」の映画「THE FIRST SLAM DUNK」。映画の主人公「宮城リョータ」の誕生日の7月31日は、映画を鑑賞しながら自由に声が出せる「RYOTA's BIRTHDAY 宮城家座談会&応援上映」が全国の上映館で一斉に行われた。

 子どもの頃からスラムダンクが大好きな記者(38)は、長野市の映画館「長野千石劇場」で夜の応援上映に参戦。うちわなど思い思いの応援グッズを手に集まる同志たちの姿を見て、上映前から心が弾む。すると、ひときわ目立つ「彩子さん」スタイルの女性を発見。思わず声をかけてみると、彩子さんの今を全力で楽しむパワーに圧倒された。(松沢佳苗)

■颯爽と現れた「彩子さん」

 上映前、記者が後方の座席から会場を見渡していると、見覚えのある出で立ちの女性が1人で訪れ、前から3列目の中央の席に座った。

 湘北高校の「S」のロゴが入った赤いキャップ、背中に「SHOHOKU」と書かれたジャージ、赤色のスパッツ…。「えっ、彩子さん?」。湘北高校バスケ部のマネジャー「彩子」の試合時の服装を完全に再現している。もう女性のことが気になってしかたがない。上映終了を待って声をかけると快く取材に応じてくれた。

 彩子さんになりきって応援上映に参加していたのは、長野県小諸市の銀行員の女性(48)。この日は仕事終わりに、映画館までの約60キロの距離を新幹線で駆けつけた。

 「本当はミッチー(三井寿)推しなんです」と女性。応援上映ではいつも三井寿のユニフォーム姿で鑑賞しているが、この日は宮城リョータの誕生日を祝い、1日限定でリョータの片思いの相手でもある彩子さんの格好をして来たという。

■応援上映の翌日に…54回目の鑑賞

 帰りの新幹線の乗車時刻が迫っていたため、翌日の夕方に電話で詳しく話を聞いた。「今まで何回くらい見ましたか?」と尋ねると、「昨日の応援上映で53回目です」。その多さに驚いていると、「今日これから54回目を見に行くところです」と言うので、電話口でひっくり返ってしまった。

 毎回、鑑賞した日時や劇場、来場者特典の内容などを手帳に記録しているという。「さすが銀行員さんですね」と言うと、「これも後から見返して思い出になると思うんですよね」と笑った。

■連載開始からのリアルタイム読者

 女性のスラムダンクとの出合いは高校時代。もともと購読していたジャンプで「スラムダンク」の連載が始まり、夢中になったという。初回からジャンプでスラムダンクを読んでいたなんて心底うらやましい。学生時代に、作者の井上雄彦先生にファンレターを送り、数年後に返事のはがきが送られてきたこともあったという。

 映画は昨年12月3日の公開日翌日に1回目を見た。当初は「原作を愛する者として映画化にちょっとした抵抗感があった」という。しかし、試合の描写、音楽…映画の全てを「井上先生の作品」として楽しめた。そこからは、スラムダンク一色の8カ月間を過ごしている。「井上先生の作品を初日に見なかったのはファンとしてあるまじきことです。すっごく後悔してます」

■見るたびに開く「脳内のタイムカプセル」 青春の思い出がポロリ

 「作品の素晴らしさはもちろんですが、毎回見るたびに脳内のタイムカプセルが開くような感覚がある」と女性。「部活や勉強に打ち込んだり、友達と遊んだり、いろんなことに夢中になっていた学生時代を思い出して、あの頃あんなに頑張っていたんだから、今も頑張ろうって思えるんです」。そんな話を聞いていたら、女性と同じ気持ちの記者は泣けてきた。

■「私は今なんだよ!」「スラムダンク・ロスが今から怖い」

 それにしても54回はすごい。「こんなに一つの映画に夢中になることはきっと私の人生で二度とない。悔いを残さないようにとことん全力...

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