https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/569267
夢のマイホームがまさかの“欠陥住宅" 壁一面に広がる不気味な黒いシミ 土台部分の鉄筋は切断 住宅Gメンは「地震来たら崩れる」
人生最大の買い物に潜む落とし穴「欠陥住宅」。
壁のひび割れに黒カビ、基礎の鉄筋も切断され、建築基準法違反も重なったありえない欠陥住宅、その実態に迫ります。
何千万円もかけたマイホームに欠陥なんてあるはずがない。そう信じたいのはヤマヤマですが、国に寄せられる相談件数はこの20年で7倍になり、今や年間3万件を超えています。
今回、私たちが取材したのは名古屋市に住む鈴木さん(仮名)。
4年前に完成したマイホームは木造3LDKの注文住宅。
異変に気が付いたのは完成してまもなくでした。
(鈴木さん)
「これです。この黒いのですよ…全部カビなんですよ」
外壁に不気味に浮かび上がる黒いシミ。
最初は塗りムラかと思いましたが、わずか数ヶ月で壁一面に広がりました。
さらに、建物の骨組みにも問題が次々に見つかったのです。
住宅Gメン「地震が来たら崩れてしまいますね」
(鈴木さん)
「この辺りもひずんでますね(梁の)割れとかすごいですね」
建物だけで5千万円以上の注文住宅。
納得できず、調査を依頼したのが人呼んで“住宅Gメン"長井良至さん。
一級建築士で、数多くの欠陥住宅の原因究明やアドバイスにあたってきました。
まずは外壁の黒いシミから。
(住宅Gメン 長井さん)
「今回壁がカビで被害がでていまして…」
壁に見える黒いシミがすべてカビだという家主の鈴木さん。しかし、建設業者は…
(鈴木さん)
「汚れだっていうんですよ」
業者からのメールには…
「壁の中の結露対策を万全にして施工していますので表面的な汚れ 漆喰(しっくい)の特性であると考えています。施工上の問題はないと確信しております」
漆喰はこんな風に汚れるものなのか?
住宅Gメン・長井さんは、壁の表面の物質を採取し専門機関に分析を依頼しました。
調査の結果、カビが検出されました。黒い物質は、やはりカビだったのです。
古来より建物に使われてきた漆喰。なぜカビがすぐにはえたのか?
壁を赤外線カメラで撮影してみると…。
広い範囲が紫色に浮かび上がりました。これは一体何を意味するのか?
(住宅Gメン 長井さん)
「壁の中に水分を含んでいるということですね」
漆喰の下に塗られたモルタルが薄すぎてひび割れが発生し、そこから水が染みこんで抜けなくなっていたのです。
この建物の場合、防火性能を保つためモルタルの厚みは20ミリ以上にしなければなりませんが…
(住宅Gメン 長井さん)
「13ミリ。厚さ不足です。防火性能がないことと、カビの原因となっています。(壁の)中への水分の透湿ですね」
次は床下を調べます。
コンクリートの土台に空いた穴。ガス管を通すために開けたようですが、ここにも重大な問題が…。
(住宅Gメン 長井さん)
「ここの穴が(施工の)後から開けられているんですけど。コンクリートの穴ですね。ガス管(を通す穴)なんですけど、鉄筋の位置を調べます」
長井さんが取り出したのは、コンクリート内部の鉄筋の位置を特定する「鉄筋位置測定機」。
電磁波を使い、ミリ単位で鉄筋の位置を探していくと、またしても長井さんが不良個所を見つけました。
(住宅Gメン 長井さん)
「この機械の右側の縦のラインが鉄筋の位置ですね」「ここに鉄筋があります。(鉄筋が)切れています」
建物を支える基礎部分の鉄筋が切断されていたのです。鉄筋の位置を確認せず穴を開けたのが原因といいます。
欠陥はそれだけに留まりません。柱と共に屋根などを支える「梁(はり)」も…
(住宅Gメン 長井さん)
「(機器を)取り付けるのに、構造材の梁を切り欠いている状態ですね」
乾燥機を収めるために、梁そのものを切り欠いていたのです。
(鈴木さん)
「かなりえぐってますよね。ひどいなと思って」
さらに、梁と柱の接合部は木が乾燥で大きく縮みゆるんでしまっています。
(住宅Gメン 長井さん)
「上と下のヒビがつながってしまうと耐震性に影響がでできますね。十分木を乾燥させずに現場に搬入したと思う」
「Q地震が来たら?(建物が)崩れてしまいますね」
次々に見つかる欠陥。
さらに、図面を見ていた長井さんはあることに気がつきます。
「違法建築」の部屋も発覚…
(住宅Gメン 長井さん)
「確認申請の図面ではここの部屋はないんですね」
長井さんが見ていた3階の部屋。
実は、行政に提出して建築確認を受けた図面には、3階部分が書かれていないのです