米と一緒でなければ
3回目となるシミュレーションには、自民党の小野寺五典元防衛相ら同党議員や外務、防衛両省OB、自衛隊OBらが参加。今回は台湾の有識者が初めて加わった。サイバー攻撃や偽情報拡散など武力衝突に至らない段階から日本への武力攻撃まで、日本の体制に穴がないかを検証した。
台湾有事が起こったら 民間シンクタンクがシミュレーション【政界Web】
沖縄県の先島諸島周辺で艦隊行動を行った中国海軍のレンハイ級ミサイル駆逐艦=5月16日[防衛省統合幕僚監部提供]【時事通信社】
焦点の一つは昨年改定した安全保障関連3文書に盛り込まれた反撃能力の行使だった。シナリオの終盤、中国が本格的なミサイル攻撃を開始した。日本はまず海上自衛隊のイージス艦や航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で迎撃したが、撃ち漏らしが生じ、自衛隊や在日米軍の基地、民間通信インフラに被害が出始めた。
首相役の小野寺氏は国家安全保障会議(NSC)を開き、日米共同で反撃を行う方針を表明した。しかし、日米首脳会談でこれを打診すると、米側は内部調整に数日間かかると譲らず、持ち帰りとなった。
時間が経過するほど反撃用の装備品が損耗して、日本の打撃力は低下する。日本側は再度、日米首脳会談の開催を呼び掛け、自衛隊と米軍の共同作戦として、標的情報を共有・調整し、固定の軍事目標に限り、日本が先行してたたくことで一致した。
台湾有事が起こったら 民間シンクタンクがシミュレーション【政界Web】
中国党大会の際、北京市内に展示された中国の中距離弾道ミサイル「東風17」=2022年10月12日【時事通信社】
小野寺氏は、米国との調整にこだわった理由について「米国と一緒に行うのでなければ、日本だけが攻撃し、日本だけが反撃対象となってしまう」と振り返った。
米側の鈍い動きはシナリオ上のものだが、中国本土への直接攻撃は事態をエスカレートさせる恐れもあり、米政府が慎重になる可能性は否定できない。反撃能力行使には、標的選定や効果判定などで米軍との連携が不可欠で、米国の対応が左右する実態が再認識された。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6430c2debaf8353b5abe5f0f92fb3c53deda858e