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台風接近の中、長崎で鎮魂の祈り 「最後の被爆地に」
長崎は9日、78回目の原爆の日を迎えた。台風が接近し、時折強い風雨が吹き付けるなか、被爆者らは早朝から鎮魂の祈りをささげた。「長崎を最後の被爆地に」。長崎市松山町の平和公園では平和祈念像に手を合わせる人の姿が見られた。
同市の本多由利子さん(86)は小学3年の時、爆心地から4.6キロ地点で被爆した。この日が近づくと、共に被爆し、一昨年がんで亡くなった妹を思い出す。「世界中の人が静かに仲良く暮らせますように」と祈った。
京都から今春、長崎の大学に進学した家城天優さん(18)は「若い世代が(被爆の実相を)伝える責任を果たし、長崎を最後の被爆地にしなければ」と語った。
爆心地近くの浦上天主堂では約150人が早朝のミサに参加した。
大阪府吹田市から訪れた田川清さん(94)は当時、愛媛県で海軍の練習生をしていたが、長崎に戻り被爆した。「足が弱り、(ミサへの参加は)いつが最後になるか分からない。今日はここに来られただけで幸せ」とかみしめるように話した