釣り目的で金沢港の防波堤の立ち入り禁止区域に入ったとして、金沢西署は8日までに、軽犯罪法違反容疑で金沢市、白山市、埼玉県の8人を書類送検した。さらに不法侵入したとされる別の数人を摘発する。同港の複数の防波堤では死亡事故が発生しているが、「大物が狙える」と侵入する釣り人が後を絶たない。5月にも転落事故が起きており、事態を重く見た石川県金沢港湾事務所は事故のあった「防砂堤」に高さ2・5メートルのフェンスを新設した。

 書類送検されたのは20~70代の男。昨年11月から今年6月にかけ、立ち入り禁止の釣り公園・大浜地区ふれあい広場の金沢港防砂堤に5人、金石大野埋立地波(は)除堤(じょてい)に3人が侵入した疑いが持たれている。

県金沢港湾事務所によると、港周辺には防波堤や波除堤、防砂堤が10カ所ある。大浜地区ふれあい広場の一部以外は立ち入り禁止となっている。

 立ち入り禁止区域はいずれも、波が激しく、転落すると自力で陸に上がるのが難しい。周囲には看板やフェンスが設置され、立ち入らないよう警告している。しかし、長年、釣果を求め禁止区域に足を踏み入れる釣り人は多い。今年の摘発人数8人は昨年1年間の摘発人数3人を上回った。

 立ち入り禁止の防波堤で転落事故が相次ぐ。金石北防波堤付近では2016年5月末、立ち入り禁止区域に入った男性が転落して死亡した。

今年5月にも侵入者が特に多い大浜地区ふれあい広場の禁止区域で、釣りをしていた70代男性が転落し、救助された。命に別条はなかった。この事故を受け、県金沢港湾事務所は6月上旬、ふれあい広場のフェンスを約1・5メートルから約2・5メートルに高くした。

港湾事務所によると、フェンスの高さが1メートル高くなったことで、これまでのように自力で乗り越えるのは困難になったとみられ、今のところ侵入者は確認されていない。ただ担当者はフェンスが新設されたばかりで、時間がたてば侵入する人も出てくる可能性があるとして、「転落すれば命に危険があるので絶対に入らないでほしい」と呼び掛けた。

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