https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08297/
景気低迷も業績過去最高のダイキン1Q決算、三菱電機の空調も高利益率へ
四半期ベースで過去最高を更新──。ダイキン工業の2024年3月期(2023年度)第1四半期(2023年4〜6月)決算は、売上高(1兆947億円)も営業利益(1179億円)も好業績を記録した(図1)。営業利益率も10.8%と、中期経営計画「FUSION25」の後半3カ年(2023〜2025年度)で目指す11%に迫った。
世界の空調市場は中・長期的には大きな成長が見込まれているものの、足元の需要は冷えている。新型コロナウイルス禍の行動制限解除によってサービス消費は回復に向かっているものの、インフレの長期化と金利上昇によって欧米の景気が低迷。中国では不動産不況がさらに悪化した。
こうした中、ダイキン工業は製品単価の引き上げに加えて、省エネルギー性能や換気性能、加湿機能を搭載した高付加価値製品の販売を強化。円安の追い風も受けて全体の売り上げを前年度同期と比べて13%、営業利益は同じく9%伸ばした。
競合する三菱電機の空調・家電事業も好業績を達成した。家庭用エアコンの需要は想定を下回ったものの、業務用エアコンが堅調に推移。円安と製品単価の引き上げ、物流費の改善の効果により、9.7%の営業利益率を確保した。中国・上海のロックダウン(都市封鎖)による物流の混乱に、品質不正の影響を受けたとみられる前年度同期の営業利益率2.7%から大きく改善した。
2022年度1Q決算
三菱電機の空調・家電事業が急減速、7割減益の理由に残る疑問
それでも、ダイキン工業は首位の座を譲らない。国内では家庭用エアコンも業務用エアコンもシェア1位。三菱電機はそれぞれ3位、2位とみられる。中でも業務用エアコンのシェアは、ダイキン工業が40%台半ばに達した一方で、三菱電機は30%を切っているとみられ、両社の差は大きく開いている状況だ。この第1四半期では、同社が三菱電機に対して売上高で2.9倍、営業利益で3.2倍の差をつけた。
ただし、2023年度通期では、両社ともこの第1四半期で出した高い営業利益率を保てないようだ。ダイキン工業の通期の営業利益率は9.8%と1ポイント低下し、三菱電機のそれは7.6%と2.1ポイント下がる見込みだ。
両社ともインドをはじめ海外での生産増強に向けて積極的に投資して中・長期の需要拡大に備える一方で、足元の景気低迷の影響を価格への転嫁とコスト削減でカバーしようと頭を悩ませている。
こうした中、ダイキン工業は国内で新たな一手を打った。ずばり、「東京攻略」だ。