【プレスリリース】Sr2RuO4での「パインズの悪魔」の観測 67年前に予言された金属の奇妙な振る舞いの発見 | 日本の研究.com
https://research-er.jp/articles/view/124935
概要
1956 年に米国の理論物理学者デイヴィッド・パインズは、固体中の電子の奇妙な状態を予言しました。通常、電子は質量と電荷を持ちますが、パインズは電子が結合して、質量がなく、電気的に中性で、光と相互作用しない複合粒子を形成できると考えました。彼はこの新しい粒子を「特異な電子の運動をになう粒子」という言葉の頭文字をとって“DEM-on”、"悪魔"と名付けました。しかしながら、これまでこの粒子が実際に観測されたことはありませんでした。
米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のピーター・アバモンテ教授、京都大学高等研究院 豊田理研・京大連携拠点(TRiKUC)の前野悦輝教授らの研究チームは、パインズの悪魔が予言されてから 67 年後、ついにそれを発見しました。この度 Nature 誌に掲載された論文の通り、物質の電子モードを直接励起する特別な手法を用いて、ストロンチウム・ルテ二ウム酸化物に悪魔の振る舞いを観測しました。「悪魔は長い間、理論的に推察されてきましたが、実験の報告例はありませんでした。実際、我々は当初その状態を探索していたわけではなかったのですが、観測した新奇な電子励起モードが、実はパインズの予言していたものであると判明したのです。」
(以下略