シアトル市内を走行する路面電車内で、51歳のアジア人男性が、見知らぬ男に刃物で20回近く刺される事件があった。
事件が起きたのは、先月21日。地元ラジオ局KTTHが入手した監視カメラの映像には、扉を開けて電車に乗り込んできた男が、後部座席に向かった後、男性を襲う姿が撮影されている。
被害者は、ベトナム出身のティン・ビ・ファムさん。Foxニュースによると、男は言葉を発することなくファムさんを刺し始めた。キング郡検察局は、男が上から何度もナイフを突き刺したため、「座席に閉じ込められた状態」だったと説明している。
周りにいた乗客は、子供を遠ざけたり、バッグを盾にし、靴を投げつけようとしたりするなどして、ファムさんや乗客の身を守ろうとした。検察は「勇気ある人々のおかげで、被害者はその場を逃れることができた」と乗客を称えた。ファムさんは、手足や顔など18カ所に傷を負い、緊急治療を受けたという。
犯人の名は、イシュマエル・ブラウン。電車内で拘束された後、暴行罪で起訴された。保釈金150万ドルに設定されたが、拘置所への収容は見送られ、医療センターに搬送されたという。理由は明らかにされていない。
ブリン・ジェイコブソン上級検事補は声明で、ブラウン被告の行為は「無差別かつ信じられないほど暴力的」であり、「地域社会にとって非常に危険な人物」と非難した。
なおブラウン被告には、複数の前科があった。2008年には銃器の不法所持で、2016年には放火の罪で有罪判決を受けた。2014年には、ドメスティック・バイオレンスの接触禁止命令に違反したとして有罪を命じられていた。
警備を強化したばかり
事件が起きたサウンド・トランジットは今年5月、路面電車の警備を300人追加すると発表したばかりだった。
KTTHによると、先月28日と30日にも電車内で男性が大きな石で殴られたり、刃物で刺されたりする事件が発生していたが、同社は事件を公表していなかったという。被害者は病院に搬送されたが、犯人は捕まっていない。
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